国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2016年11月25日(金) ~11月26日(土)
国際フォーラム「地域文化の発見、保存と活用」
人間文化研究機構基幹研究「日本列島における地域文化の再発見とその表象システムの構築」/科学研究費補助金基盤(B)「東日本大震災で被災した民俗文化財の保存および活用に関する基礎研究」

発表要旨[PDF:4.3MB]
  • 日時:2016年11月25日(金)、11月26日(土)
  • 場所:桃園市大渓(台湾)
  • お問い合わせ:
    国際フォーラム「地域文化の発見、保存と活用」事務局
    TEL: 06-6876-2151(代表)
    E-mail:k-nishioka★knit-k.com
    ※★を@に置き換えて送信ください。
 

趣旨

社会のグローバル化に伴う地域文化の変貌は著しく、さらには多発する災害復興の名のもとにおこなわれる地域再編は、これまでその地域で連綿と築かれてきた文化の破壊を生み出し、新たな地域で生きる人々の間にさまざまな摩擦を引き起こしている。一方、これらの問題の解決策として、そこの地域で育まれてきた地域文化を再発見し、保存、活用の実践を新旧の住民を軸に、大学や博物館の研究者が共同しておこなうことで、新たな地域文化を創生し、豊かな地域社会を育てていくという事例が注目されつつある。特に日本においては、東日本大震災からの地域復興のなかで、地域文化に焦点を当てた地域復興の実践事例が注目されており、これの事例が豊かな地域創生に大きな広がりを持つ可能性をもったものであるとして、人間文化研究においても大きな研究課題となってきている。
そこで、このフォーラムでは、地域文化の発見、保存、活用の視点から、台湾と日本で試みられている地域文化の活性化を目指した実践事例を通して、地域学、博物館学、あるいは人類学や民俗学の観点から、人間文化研究の果たす役割について議論を深めたい。

プログラム

11月25日(金) 第1部 地域文化の発見、保存、活用をめぐる台湾と日本の実践活動
9:05 - 9:15 挨拶・趣旨説明
日髙真吾(国立民族学博物館准教授)
9:15 - 9:25 挨拶・趣旨説明
黄貞燕(国立台北芸術大学准教授)
◆セッション1「地域文化を発見する」
9:30 - 10:10 「宮城県波伝谷の地域文化を発見する――日本の民俗学からのアプローチ」
政岡伸洋(東北学院大学)
10:10 - 10:50 「台南市“大目降”の再発見――市民活動の視点から」
康文榮(台南市新化の市民活動代表者)
10:50 - 11:20 ディスカッション
コメンテーター:小谷竜介(東北歴史博物館)、謝仕淵(国立台湾歴史博物館研究員)
11:20 - 12:30 昼休み
◆セッション2「地域文化を保存する」
12:30 - 13:10 「石川県穴水町の文化遺産を保存する――保存修復の視点から」
日髙真吾(国立民族学博物館)
13:10 - 13:50 「宜蘭県大二結の文化遺産の取り組み――町の記憶と保存活動」
林奠鴻(大二結文化基金會理事長)
13:50 - 14:20 ディスカッション
コメンテーター:末森薫(国立民族学博物館機関研究員)、許主冠(臺灣城鄉特色發展協會理事長)
14:20 - 14:30 休憩
◆セッション3「地域文化を活用する」
14:30 - 15:10 「京都市左京区久多の地域文化遺産を展示する――地域と大学の連携」
伊達仁美(京都造形芸術大学)
15:10 - 15:50 「参加型地域博物館の経営論と実践――地域住民と博物館の協同活動」
陳倩慧(大渓木芸エコミュージアム館長)
15:50 - 16:20 ディスカッション
コメンテーター:平井京之介(国立民族学博物館教授)、黄貞燕(国立台北芸術大学准教授)
16:20 - 16:30 休憩
16:30 - パネルディスカッション「発見・保存から活用へ――地域における博物館の役割」
コーディネーター:黄貞燕(国立台北芸術大学准教授)
パネリスト:呂理政(元国立台湾歴史博物館館長)、陳冠甫(文化部文化資源司司長)、日髙真吾(国立民族学博物館)、菊池健策(東京文化財研究所客員研究員)
11月26日(土) 第2部 大渓における実践事例と活動の実態
9:30 - 10:00 事例1「パブリックヒストリーのアプローチと地域史の展示――大渓木芸エコミュージアムにおける常設展の戦略」
温欣琳(大渓木芸エコミュージアム学芸員)
10:00 - 10:30 事例2「芸術、生活と古い家の保存と活用-大渓の源古本舖の再生計画」
古正君(地域文化工作者)
10:30 - 10:40 休憩
10:40 - 11:10 事例3「民家と家族の技能と記憶――大渓の街角ミュージアムとなった我が家」
劉清剋(地域文化工作者)
11:10 - 11:40 事例4「NPO、地域史と文化産業発展ための資源――大渓蘭室の保存と再生」
黄士娟(国立台北芸術大学准教授)
11:40 - 11:50 閉会挨拶
日髙真吾(国立民族学博物館)
13:00 - 大渓における博物館活動の現地調査
・大溪木芸エコミュージアムの常設展
・源古本舖
・下街四十番地
・蘭室