国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱっく 活用例「“三年とうげ”のお話の世界をイメージしよう」(国語)/「“三年とうげ”の国について知ろう」(総合)

四日市市立三重北小学校
「“三年とうげ”のお話の世界をイメージしよう」(国語)
「“三年とうげ”の国について知ろう」(総合)
貸出期間:平成17年10月18日~28日
学年:3年生
パックの種類:「ソウルスタイル
使用科目:国語、総合学習
学習のねらい:
国語教材「三年とうげ」の国の生活をよく知ることによって韓国やお話についてのイメージをより豊かにする。
 
■ “みんぱっく”を利用することになったきっかけ。
1学期に国語で学習した「三年とうげ」のお話の世界を知り、群読発表を行い、その物語の楽しさを味わった。
しかし舞台は朝鮮半島であり、3年生の子どもたちにとって、場所も文化も全く未知の国である。
四日市市は在日コリアンの方々も多く、朝鮮初中級学校があり、今後接していく機会があるかと思われる。
“みんぱっく”を利用した学習活動によって日本と深いつながりのある国について親しむきっかけとなればと考えた。
また、夏休み中に教員向け研修会に参加し、そこで得た情報を元に、“博物館を作る”という事もやっていこうと思った。
 
■授業の流れ
  国語 総合学習
テーマ “三年とうげ”のお話の世界をイメージしよう “三年とうげ”の国について知ろう
ねらい 群読することで、民話の世界の楽しさを味わおう インターネットで調べたり韓国の日用品や楽器に触れたりすることにより、韓国について親しみを感じることができる。
パックの使い方 民族衣装を着る。 現代の子どもたちの日用品を紹介する。
お面や布団などを小道具に使う。 楽器を実際にたたいたりする。
歌の時、太鼓でリズムを打つ。 ビデオを見て自分たちの生活と比較。
  「“三年とうげ”のはくぶつかん」を作って展示。
活動 1学期の終業式の時に“三年とうげの群読をしたが、今回はみんぱっくのモノを使って、群読劇を行った。 インターネットや学校図書館で韓国について調べる。
  「“三年とうげ”から広がる韓国」をインターネットで検索し、クイズに答えた。
登場人物のトルトリ、おじいさん、おばあさんが民族衣装を着る。 ~ワークシートを子どもたちに渡し、質問事項の答えを捜す。
布団  病気になったおじいさんが実際に寝た。 みんぱっくの中の物を実際に見たり触ったりする。
仮面  最後の場面で木の陰から顔を出すトルトリがかぶる。 ~ワークシートを子どもたちに渡し、パックの中に 入っていたモノについて気づいたことや思ったことを記入する。
楽器  「えいやら、えいやら・・・」の歌の時にリズムをつけた。 「ドンファとウィジョンの一日」*のビデオを見る。
(*みんぱっくに入っているビデオ)
  ~ワークシートを子どもたちに渡し、韓国の子どもたちと私たちの生活を比べて気がついたことや感じたことを記入する。
  “三年とうげ”の博物館を作り、パックのモノを展示したり、クイズコーナー・本の紹介コーナーなどを作って、授業参観に来た保護者や学校内に紹介。


 
国語の授業の成果として、「三年とうげ」の劇を演じる子どもたち。
劇にはみんぱっくのモノたちも利用されました。


 
総合学習で、博物館やクイズコーナーなどを作り上げていく子どもたち。
モノの説明や、クイズなどほとんどが子どもたちの手作りによって完成されていきました。


 
「“三年とうげ”の博物館」の入り口です。手作りした説明書きや、イラストがモノの前に貼り付けられています。
 
 
■ 子どもたちが感じたこと
上記の3種類のワークシートから子どもたちが感じて記述していたことを抜粋して紹介します。
ビデオを見て~
かん国にも日本にある遊びがあるし、毎日キムチを食べていると知ったときはびっくりしました。
こんなににているところとちがうところがあるんだな、と思った。最初は全然違うと思っていたけど、見てみればおなじところがいっぱい。
日本とはちがってがい虫をころすまつりがあるってかいてあったからびっくりしました。
キムチからいのにきゅうしょくにでるなんてすごい。
かんこくの遊びってすごいなと思いました。

■先生の感想や要望
 1学期の終業式の時は日本の太鼓や布団を使ったが、今回は役をしている子どもたちは衣装を着ることでとても意欲的になっていたし、太鼓の音によってとても物語の雰囲気が出ていて他の子どもたちも楽しみながら声を出すことができました。また、「博物館づくり」を行うことで、ただ、パックのモノを見るだけでなく「何に使われるのだろう?」という調べる事への意欲が高まり、活動に熱心に取り組めました。
 要望としては、
1. 説明書などは子どもにも分かりやすい表記や簡潔な内容があるとよい
2. 子どもの生活が映し出されているビデオは説明がないと3年生には理解しにくい
3. 小学校の教科書に出てくる国に関するパックがあるとよい
などです。
 近隣に学習教材として気軽に観覧出来る博物館等がない場合、「みんぱっく」のように貸出をして頂けることは非常にありがたく、地方の博物館でもこのような取り組みが広がっていくと良いと思います。
 

■担当者より一言
 “ソウルスタイル”を借りた学校のアンケートを見ると、『国語の「三年とうげ」の単元の際に韓国を学習するために利用した』というような一文をよく目にしていたので、「三年とうげ」にちなんで利用された学校を是非ご紹介したいと以前からその機会を伺っていました。
 そんな折、三重北小学校が「三年とうげ」に関連した一連の学習をすることを事前のアンケートで知り、無理を承知でアンケートや写真掲載をお願いしたところ、快いお返事を頂きました。
 今回のレポートは先生から送って頂いたアンケートや資料、子どもたちのワークシートを元に担当者が作成しました。
劇やインターネット等での調べ学習、博物館づくりなど、「三年とうげ」を核に物語の世界や韓国についての学習を多角的に取り組まれていて、きっと子どもたちは楽しみながら取り組むことができ、先生がねらっていらっしゃった“イメージをより豊かにする”という目的も果たせたのではないでしょうか。