国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2005年3月3日(木) ~3月5日(土)
《機関研究成果公開》オープニング・コローク「発酵食品と感覚受容―環境と現行する記憶」

  • 日時:2005年3月3日(木)~3月5日(土)
  • 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室
 

趣旨

近年、地球環境の危機的変化の兆しの認識に伴って、食の安全性が注目される中、最も腐敗に近い発酵食品が従来からの身近な日常食品や保存食品、健康食品、近年注目されてきた健康補助食品、更には嗜好品に地理的にも食事構成に於いても懸け離れていると思われる日本とフランスで顕著に見られる。 例えば、フランスの場合パンとチーズ・ヨーグルトやワイン、日本の場合は納豆や漬け物、鰹節や"くさや"等の干物、すしや日本酒が挙げられる。 これら生活に不可欠な発酵食品は、近年の衛生面や効率性に基づいた大規模化傾向の食品管理の影響を真っ先に受け、生活本体の変化とも相俟って著しい変化を遂げている昨今、先端のバイオロジーやナノテクノロジーへとつながる技術の苗床(全体的技術)としての生活との繋がりを喪失しつつある為、緊急な調査や当事者の記憶の記録が必要とされる。今回、フランスから発酵のマーカーであり、文化的影響を強く受ける(秋道説)臭いを異なった立場から研究するコビー氏とフルニエ氏をお迎えし、日本とフランスの発酵にさまざまな立場から、さまざまな見方で研究してきた諸研究者のコロークでの発表及び各セッションでのコメントと討論を踏まえて、最終的には"発酵のスタンス"を確認して、向こう2年の機関研究のオープニング・"コローク"とし、これを二カ国語の小冊子に纏める。

プログラム

3月3日(木)
13:00~ 館長挨拶 松園万亀雄(民博館長)
13:30~14:30 司会進行・コメンテーター 上野和男(国立歴史民俗博物館教授)
堀越昌子(滋賀大学教育学部教授) 「滋賀のナレスシの特性とその嗜好性の形成」
14:30~15:30 司会進行・コメンテーター 安室知(国立歴史民俗博物館助教授)
上野和男(国立歴史民俗博物館教授) 「滋賀県御上神社の祭祀儀礼における鮒ずし」
16:00~17:00 司会進行・コメンテーター 堀越昌子(滋賀大学教育学部教授)
石毛直道(民博名誉教授・前館長) 「魚の発酵食品と水田漁業」
17:30~ 懇親会 特別研究室
3月4日(金)
11:00~12:00 司会進行・コメンテーター 安室知(国立歴史民俗博物館助教授)
和田光生(大津市歴史博物館学芸員) 「大橋の歴史的環境」
14:00~15:00 司会進行・コメンテーター 堀越昌子(滋賀大学教育学部教授)
日比野光敏(名古屋経済大学短期大学部助教授) 「日本・大橋の馴れスシ」
15:30~16:30 司会進行・コメンテーター 和田光生(大津市歴史博物館学芸員)
泉幽香(民博民族社会研究部助手) 「大橋の馴れスシ1990-'94; 現行する記憶(時間の冗長性)」
16:30~ 解説 上野和男(国立歴史民俗博物館教授)
ビデオ映画上映:
 『御上神社の祭祀』 NHK,撮影、歴博、旧野洲町のアメノウオ祭り
 『日野町の芋比べ』 歴博作成
3月5日(土)
13:30~14:30 司会進行・コメンテーター 中牧弘允(民博民族文化研究部教授)
ドミニク・フルニエ(CNRS研究員) 「発酵飲料についてその匂い(臭い)との関連」
14:45~15:45 司会進行・コメンテーター 堀越昌子(滋賀大学教育学部教授)
ジャーヌ・コビー(CNRS・主任研究員) 「発酵食品と嗅覚」
16:15~17:15 司会進行・コメンテーター 和田光生(大津市歴史博物館学芸員)
安室知(国立歴史民俗博物館助教授)「日本における水田漁労と魚の保存技術との関係-ナレズシと焼き干し」

問い合わせ先

  • 国立民族学博物館
  • 研究協力課国際協力係
  • Tel:06-6876-2151(代表)