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2009年3月22日(日)
《機関研究成果公開》国際ワークショップ「東アジアの村落社会が見た『近代』―地域の有力者層への着目から」 -
- 日時:2009年3月22日(日) 11:00~18:00
- 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室
- 主催:国立民族学博物館
- 共催:日本文化人類学会 近畿地区研究懇談会
- 定員:60名
- 参加料:無料
- 事前登録:不要
- 使用言語:日本語、中国語(通訳あり)
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問い合わせ先:TEL:06-6876-2151(太田心平研究室)
FAX:06-6878-8335(太田心平研究室) - チラシダウンロード[PDF:437KB]
趣旨説明文
東アジアの「近代」が他地域と異なった特徴をもっていたことについては、人類学の内外で多くの言及がなされてきた。例えば、東アジアの諸社会は「近代」以前に中国の影響を多分に受け、それぞれに集権的な統治システムを有したが、列強からの外圧を契機として、社会システムの抜本的刷新を「近代化」として急速に実現しようとしてきた。また、こうしたマクロな「近代」とともに、生活レベルでのミクロな「近代」にも研究のメスは入れられ、東アジア的な「近代」の洗い出しが行われてきた。
しかし、これまでの研究には取り残しもあったのではないだろうか。その一つが、東アジアの「近代化」の過程では地域の有力者が重要な役割を果し、続く時代においてもそうした人々の存在は国家と末端社会の双方にとって大きな意味をもってきたということである。そして、こうした人びとこそが、マクロとミクロの「近代」の媒介者だったのではないだろうか。
本国際ワークショップでは、地域の有力者層へと着目と、「権力・秩序」「性役割」「知識・技術」といった切り口から、東アジアにとって「近代」とはいかなるものであったのかを再考する。
プログラム
司会 川村清志(札幌大学) 11:00 御挨拶 松園万亀雄(国立民族学博物館) 開会辞 太田心平(国立民族学博物館) 11:15 発表 川口幸大(国立民族学博物館)
「近代化のなかの在郷有力者の交代――郷紳の没落、土豪の台頭」15:20 発表 周建新(中国・?南師範学院)
「社会転換期における江西萍郷の地方エリートと近代化――文延式の事例より」12:45 コメント 上田信(立教大学) 14:00 発表 太田心平(国立民族学博物館)
「女性化した男性たち――ソウル近郊の士族女性たちが見た近代の村落秩序とエリート像」14:45 発表 安勝澤(韓国・全北大学)
「解放前後の韓国農村における「自家農業」の倫理学――協働から単身労働への離脱を可能にした共同体原理と新しい労働エリート」15:45 発表 張基善(東北大学大学院)
「明治期の戸籍制と医師」16:30 コメント 岡田浩樹(神戸大学大学院)、佐々木史郎(国立民族学博物館) 17:15 質疑応答
総合討論閉会辞 川口幸大(国立民族学博物館) ※終了後には懇親会を予定しています。
講演者
安勝澤 AHN Seung Taik(韓国・全北大学)
専攻は歴史人類学、19・20世紀韓国研究。 「歴史生態」をキーワードに、環境、技術、社会、知識、理念の連鎖関係への注目から、地域文化を研究している。 人類学博士(ソウル大学、2007年)。主著に「18・19世紀の代田法論議と間混作問題――農書と農俗に見た技術と理念の文化論」、 「日本式近代農法と植民地朝鮮の農俗の狭間――正條植の奨励と散植の慣行の追突を中心に」など。
周建新 ZHOU Jian Xin(中国・?南師範学院)
専攻は文化人類学。博士(中山大学、2005年)。主として、客家のエスニシティと地域文化についての歴史人類学研究を行ってきた。主著に《??的??屋: 一个客家宗族的城市化遭遇与文化抗争》、《江西客家》、《民?文化与?土社会: 粤?梅?五大墟?考察》、 "Hakka enthnic group identity and cultural production: an anthropological analysis about the world Hakka conference"など。
太田心平 OTA Shimpei(日本・国立民族学博物館)
専攻は社会文化人類学、北東アジア研究。李朝から現代まで韓国・朝鮮でおきた社会システムの転換について研究している。博士(人間科学)(大阪大学、2007年)。主著に「リョーハン――植民地化過程における日本人の朝鮮両班の表象様式に関する知識人類学的研究」、「センセーショナリズムへの冷笑――移行の言説としての韓国「民主化」と元労働運動家たちの懐古」など。
張基善 JANG Gi Sun(日本・東北大学大学院)
専攻は日本史。修士(文学)(東北大学、2002年)。江戸時代における身分制について、浪人と医師を対象に研究を進めている。近年は近代国家の成立と医師の役割に興味を持っている。主著に"Social Status of Doctors in the Edo Period: The Cases of Bakuhu and Han doctors"、「仙台藩における諸医師とその把握・動員」など。
川口幸大 KAWAGUCHI Yukihiro(日本・国立民族学博物館)
専攻は文化人類学。博士(文学)(東北大学、2007年)。 2000より広東省での調査に基づいて、中国の家族・親族が行う祭祀・儀礼と国家の政策との関係について研究している。主著に"Kinship Organization and Social Stratification in Late Imperial China"、「共産党の政策下における葬送儀礼の変容と持続」など。
川村清志 KAWAMURA Kiyoshi(日本・札幌大学)(民俗学)
上田信 UEDA Makoto(日本・立教大学)(中国史)
岡田浩樹 OKADA Hiroki(日本・神戸大学大学院)(文化人類学)
佐々木史郎 SASAKI Shiro(日本・国立民族学博物館)(文化人類学)