国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2004年2月21日(土)
藤井龍彦教授退官記念公開シンポジウム 「歴史の山脈―日本人によるアンデス研究の回顧と展望」

  • 日時:2004年2月21日(土) 10:00~18:00
  • 場所 :国立民族学博物館 第4セミナー室
  • 参加費:無料(事前登録は不要)
  • 主催:国立民族学博物館

シンポジウム趣旨

1958年、東京大学文化人類学教室が主体となって発足した調査団が、南米アンデス地帯に足を踏み入れました。こうして始まった日本のアンデス研究は、今年で45年を迎え、これまで考古学、民族学、エスノヒストリーなどいわゆる人類学の分野を中心に多くの業績をあげてきました。半世紀を迎えようとする今日、改めて、これらの成果について学術的に回顧することは、将来の研究を展望することにつながると考えます。今回のシンポジウムの企画は、近年の研究動向の変化を反映しています。当初、総合的視点をもって多分野の専門家が参加した調査団も、年を経るに従い、次第に専門化が進み、調査も個別化していきました。各分野における研究成果の重厚さは十分に認めるところではありますが、一方で、今日改めて求められているのは、分野横断的な総合的視座に立つ研究モデルであります。そこで、シンポジウム後半では、研究分野を超えた対話が可能になることを前提に、「歴史性」という共通テーマを設け、この軸に沿って最新の成果を披露することにしました。シンポジウムの対象となるアンデス地帯は、今日のペルー、ボリビアの一部にあたり、古代文明が誕生した場所です。 また、その後16世紀の前半には、スペインによって征服され、長い植民地時代を経験してきた場所でもあります。その意味で、歴史の重層性を抱えた興味深い地域ともいえましょう。具体的には、文字を持たなかった古代アンデス文明社会において、時間がどのように記憶されていったのか、キリスト教を先住民がどのように受容し、解釈していったのか、あるいは現代のアンデス社会において、事件や出来事が、どのように記憶され、歴史となって浸透していくのかなど、現代人類学で注目されるようなテーマが議論の中心となります。 今回は、発表者のほかにも、日本全国で活躍するアンデス研究者に声をかけましたところ、多数の賛同を得ました。これだけの研究者が一同に会するのは初めてのことですし、議論が活発に行われることが期待されます。本シンポジウムは、これまで45年間にわたり蓄積されてきたアンデス研究の成果を、まとまった形で社会に還元する良い機会になると確信しております。

国立民族学博物館調査報告(SER) No.55
藤井龍彦教授退官記念シンポジウム報告書「歴史の山脈─日本人によるアンデス研究の回顧と展望─」関雄二・木村秀雄 編 (2005.05.30)

プログラム

第1部 アンデス研究の半世紀
  • 司会:藤井龍彦(国立民族学博物館)
  • 日本のアンデス調査45年
      大貫良夫(野外民族学博物館リトルワールド)
  • 考古学からの回顧(西語、日本語抄訳配布)
      ピーター・カウリケ(ペルー・カソリック教皇大学・国立民族学博物館)
  • クロニカ研究の歩みと新しい試み
      染田秀藤(大阪外国語大学)
  • 民族学からの回顧
      友枝啓泰(広島市立大学)
第2部 アンデス研究の最前線―「歴史性」をさぐる―
  • 司会:関雄二(国立民族学博物館)
  • 先スペイン期アンデスの空間構造と「歴史認識」
      坂井正人(山形大学)
  • アンデスのラクダ科動物の利用に関わる通時的課題―野性動物ビクーニャの合理的利用「チャク」とリャマ・アルパカ家畜化に焦点を当てて
      稲村哲也(愛知県立大学)
  • アンデス植民地美術史と「メスティソ」概念―自己と他者のイメージをめぐる歴史の屈折
      岡田裕成(福井大学)
  • 中央アンデスの農村経済:ペルー、クスコ県の先住民共同体とアシエンダ
      木村秀雄(東京大学)
  • 歴史の連続性と非連続性―歴史的言説のせめぎあいの場としての異教徒(ヘンティル)神話―
      細谷広美(神戸大学)
  • 磔刑のイエスが現れた-アンデス高地における聖所の形成
      加藤隆浩(三重大学)
  • 創り出す力―ペルーの民衆芸術をめぐって
      藤井龍彦(国立民族学博物館)
  • 総合討論

お問い合わせ

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  〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1
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