国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究会・シンポジウム・学会などのお知らせ

2005年3月19日(土) ~3月20日(日)
公開フォーラム 「夷酋列像を読み解く」

  • 日時:2005年3月19日(土)、20日(日)
  • 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室(19、20日)、講堂(20日14:00~)

◎講堂にての公開フォーラムはどなたでもご聴講いただけます。

趣旨

本館所蔵となった資料『夷酋列像図』は上・下巻に分かれており、上巻はすでに国立民族学博物館所蔵となっている。下巻も近々国立民族学博物館所蔵となる予定であるが、現在の所蔵は一誠堂書店である。
これが描かれた背景は、寛政元年(1789)松前藩や和人商人の経済的収奪や横暴などに抗して、東蝦夷地(北海道東部地域)の奥地に位置するメナシ(目梨)やクナシリ(国後)島のアイヌが武力蜂起し、現地に駐在する交易場所の支配人、通辞、番人などを殺害した。松前藩はただちに兵を送って蜂起を鎮圧し、アイヌの首謀者37人を処刑した。このとき、松前藩との仲立ちをつとめ、鎮圧に功績のあったアイヌの指導者たちを松前に呼び寄せ、藩の支配力を示すパレードを行った。松前藩は、処刑された仲間の首桶をもって歩くアイヌにロシアや中国の華麗な衣服を着せ、蜂起と外国の圧力を関連させるという演出をしたと思われる。そして、戦勝記念として、そのアイヌ指導者12人の像を描かせた。これを描いたのが松前藩家老をもつとめた画人、蠣崎波響であり、その代表作が『夷酋列像』と呼ばれる12点のアイヌの肖像画である。
今回新たに発見され、国立民族学博物館所蔵となった本資料をもとに、文化人類学、歴史学、美術史などの専門家に集まっていただき、それぞれの専門分野から検討し、討論することを目的とするシンポジウムである。

日程・プログラム

シンポジウム『夷酋列像を読み解く』

[img]3月19日(土)第4セミナー室

9:30~9:50
 開会セレモニー

9:50~10:30
 基調講演 大塚和義「開催の主旨と民博所蔵本について」

10:30~12:30
 セッション1「夷酋列像とはなにか」
 座長 新明英仁
 発表者 朝賀浩「日本の肖像画」
 発表者 井上研一郎「夷酋列像の画像論」
 コメンテイター 秋辺日出男、五十嵐聡美、林昇太郎

12:30~13:30
 昼食

13:30~15:30
 セッション2「夷酋列像の社会的背景」
 座長 藤田覺
 発表者 菊池勇夫「クナシリ・メナシの戦いの意味」
 発表者 小林真人「戦い前後のアイヌ社会の変化」
 コメンテイター 田島佳也

[img] 15:30~16:00
 コーヒーブレイク

16:00~18:00
 セッション3「北方脅威論と幕府の対応」
 座長 佐々木史郎
 発表者 秋月俊幸「日露関係史からみたクナシリ・メナシ事件」
 発表者 藤田覺「松平定信の対外政策と"戦い"への対応」
 コメンテイター 菊池俊彦、川上淳

 

3月20日(日)第4セミナー室

10:00~11:00
 セッション4「夷酋列像の衣装・器物を読む」
 座長 菊池勇夫
 発表者 小川早苗「夷酋列像に描かれた衣装・器物」
 コメンテイター 出利葉浩司

11:00~12:30
 総合討論 司会 大塚和義

 
公開フォーラム『夷酋列像を読み解く』

◎この公開フォーラムはどなたでもご参加いただけます。

3月20日(日)講堂

9:30~9:50
 開会セレモニー

14:00~16:30
 パネリスト
  大塚和義(アイヌ民族学)
  井上研一郎(日本美術史)
  菊池勇夫(日本近世史)
  秋月俊幸(日露関係史)
  藤田覺(近世史)
  秋辺日出男(アイヌ木彫家)
 司 会
  佐々木史郎(ユーラシア民族誌)

問い合わせ先

国立民族学博物館 研究協力課国際協力係
 大阪府吹田市千里万博公園10-1
 Tel:06-6876-2151(代表)