研究会・シンポジウム・学会などのお知らせ
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2007年3月25日(日)
山本紀夫教授 秩父宮記念山岳賞受賞および定年退職記念公開シンポジウム「登山・探検・フィールドワーク―地球の高みにむけて―」 -
- 日 時:2007年3月25日(日) 13:00~17:00(12:30開場)
- 場 所:国立民族学博物館 講堂
- 主 催:国立民族学博物館
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後 援:日本山岳会・京都大学学士山岳会
西堀榮三郎記念探検の殿堂 - 定 員:参加無料 450名(先着順)
趣旨
かつて日本のフィールドワーカーの大半は、山歩きや山登りを通して自然に接し、そこから野外科学の道に進んだ人たちでした。とくに、大学の山岳部や探検部は、優秀なフィールドワーカーを多数育成する場所にもなっていました。ところが、近年若者たちの山離れや自然離れは激しく、山岳部や探検部は部員の減少に苦しんでいます。そのせいで若手の野外科学研究者が育ってこないという嘆きがあちこちで聞かれるようになりました。一方で、山岳地帯などを舞台にした野外科学の分野では依然として若者だからこそ可能になる研究が少なくありません。
そこで、本シンポジウムでは、アンデスやヒマラヤなどの山岳地域における長年の研究調査により本年(2006)度の秩父宮記念山岳賞を受賞し、3月に退職を予定している山本紀夫教授を中心として、大学時代に山岳部や探検部に所属し、その後フィールドワーカーの道に進んだ方々の参加をあおいで映像と講演によるシンポジウムをおこないます。そして、これまでの探検や登山などの活動の足跡をふりかえるとともに、今後のあるべきフィールドワークの道を探ろうとします。さらにフィールドワークの魅力や面白さを伝えることによって、多くの若者をフィールドワーカーへの道に誘う契機にしたいと願っております。
関連企画展「雲の上で暮らす アンデス・ヒマラヤ・チベット 山本紀夫写真展」
2007年2月24日(土)~4月10日(火)プログラム
12:30 開場 13:00~13:10 開会の辞 中牧弘允(実行委員長・国立民族学博物館教授) 13:10~13:20 挨拶 斎藤惇生(元日本山岳会会長・新河端病院名誉院長) 13:20~14:10 「映像史 ヒマラヤへの道─京都大学学士山岳会の70年─」上映 14:10~14:40 「初登頂からフィールド科学へ」斎藤清明(総合地球環境学研究所研究推進センター長) 14:40~15:10 「山岳部からフィールド医学へ」松林公蔵(京都大学教授) 15:10~15:25 休憩 15:25~15:55 「ヒマラヤ登山からシェルパ研究へ」鹿野勝彦(金沢大学教授・副学長) 15:55~16:25 「考古学少年から探検へ」石毛直道(国立民族学博物館名誉教授) 16:25~16:55 「伏見桃山から世界の高地へ」山本紀夫(国立民族学博物館教授) 16:55~17:00 閉会の辞 中牧弘允 お問い合せ
国立民族学博物館 関研究室 E-mail:sekiken@idc.minpaku.ac.jp
成果報告
シンポジウムでは、山本紀夫教授の出身校である京都大学における山岳登山や探検の歩みを追いながら、日本における文化人類学の成立との関連性が明らかになったばかりでなく、山岳フィールドから派生し、成立していった新たな学問分野が紹介された。斎藤清明氏は、今西錦司の学問の総括を行い、松林公蔵氏の発表では、ヒマラヤなどの高地をフィールドに始めた医学から、老年医学という新たな分野を開拓した経緯が触れられ、いずれもフィールドワークを基礎に置く研究であることが認識された。また鹿野勝彦氏は、ヒマラヤ登山へのあこがれからヒマラヤ地域の文化人類学的研究を始めた経緯を発表し、石毛直道氏も、ニューギニア高地でのフィールドワークに至る研究者としての歩みを述べた。山本教授の発表では、若手研究者のフィールドワーク離れに対する危惧が表明され、自らの生い立ちを紹介しながら、幼少期における自然環境とのふれあいがフィールドワークとの接点になった点が指摘された。とくに、自然とふれあう機会が減少しつつある現代社会の状況とフィールドワークの衰退との関連性を示し、この点に的を絞った提言を行ったことは重要である
山本紀夫教授山本紀夫教授発表題目山本紀夫教授発表1山本紀夫教授発表2山本紀夫教授発表3山本紀夫教授発表4シンポジウム看板シンポジウム会場1シンポジウム会場2関雄二教授中牧弘允教授斉藤惇生氏斉藤清明氏齋藤清明氏発表1斉藤清明氏発表2松林公蔵氏鹿野勝彦氏石毛直道名誉教授