国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2011年10月29日(土) ~10月30日(日)
公開シンポジウム「ユニバーサル・ミュージアムの理論と実践:―博物館から始まる『手学問のすゝめ』―」

  • 日時:2011年10月29日(土)~10月30日(日)
  • 会場:国立民族学博物館 第5セミナー室
  • 定員:100名(先着順)[参加無料] → 定員に達しましたので、申込受付は終了いたしました。
  • 後援:全日本博物館学会、日本博物館協会、日本ミュージアム・マネージメント学会
  • チラシダウンロード [PDF: 221KB]
 

趣旨

科学研究費プロジェクト「誰もが楽しめる博物館を創造する実践的研究」(通称「ユニバーサル・ミュージアム研究会」)は、09年度から各地のミュージアムで研究集会とワークショップを開催してきた。このシンポジウムは本研究会の成果を公開し、ユニバーサル・ミュージアム(誰もが楽しめる博物館)の理論と実践例を提示することを目標としている。

一般にユニバーサル・ミュージアムを具体化するためには、二つの方法論がある。まず、これまで博物館から疎外されてきたマイノリティへの対応を検討すること(「for」=○○への支援)。ついで、それらマイノリティへの単なるサービスという福祉的な発想のみでなく、彼らの知識や経験を積極的に博物館展示に導入すること(「from」=○○からの発信)。ユニバーサル・ミュージアムを創造・開拓する切り口は多様だが、とくに本シンポジウムでは「視覚障害者」を対象として、「for」「from」の両視点の有効性について議論したい。

プログラム

[第一日]10月29日(土)
13:00~13:25 趣旨説明「ユニバーサル・ミュージアムとは何か」(広瀬浩二郎
13:25~14:25 講演「壁を壊せ――縄文人、アボリジニ、そして視覚障害者」(小山修三)
■セッションI:「ユニバーサル・ミュージアム研究会の衝撃――各館の視覚障害者対応の現状と課題」
14:40~15:10 「“さわる”力が地域を変える――盲学校・県立美術館・三内丸山遺跡の取り組み」(増子正)
15:10~15:40 「湯浅八郎と民芸品コレクション――さわって味わう展示の魅力」(原礼子)
15:40~16:10 「やきもの、アート、コミュニケーション――触って“みる”こと」(三浦弘子・宮本ルリ子)
16:20~16:50 「人が優しい『市民ミュージアム』――年齢・国籍・障害にこだわらない交流の場として」(藤村俊)
16:50~17:20 「レプリカ展示の意義と限界――“さわる”ことで何がわかるのか」(鈴木康二)
18:00~19:30 レセプション(レストランみんぱく)
[第二日]10月30日(日)
09:30~10:30 講演「フィーリングワーク入門――触学・触楽・触愕の体験的博物館論」(広瀬浩二郎
■セッションII:「視覚と触覚の対話――目が見えない人たちの多様な学習方法」
10:40~11:10 「盲学校における社会科教育」(岩崎洋二)
11:10~11:40 「文化、歴史探訪の手がかりとしての“さわる絵画”の可能性――イタリアの取組に学ぶ」(大内進)
11:40~12:10 「さわれないものを理解するための技法――“さわる絵画”“さわる展示パネル”制作の立場から」(柳澤飛鳥)
12:10~12:20 コメント1「触覚でとらえる宇宙――触常者からのアプローチ」(小原二三夫)
12:20~12:30 コメント2「とらえ方と伝え方――見常表現者からのアプローチ」(安芸早穂)
13:30~14:30 講演「梅棹忠夫の博物館経営論を継承・発展するために――国立民族学博物館とJICA横浜海外移住資料館」(中牧弘允
■セッションIII:「目に見えない世界を触覚で探る――誰もが楽しめる触察展示の試み」
14:45~15:15 「触れる写真展の挑戦」(真下弥生)
15:15~15:45 「ニューヨークのミュージアムにおける視覚障害者の学びとエデュケーターの役割」(大高幸)
15:45~16:15 「『さわる展示』の回顧と展望」(五月女賢司)
16:25~16:55 「子ども向け暗闇体験イベントの教育的効果」(石川梨絵)
16:55~17:25 「ロビー展『仮面の世界へご招待』がもたらしたもの――さわって学ぶ展示の重要性」(大河内智之)
17:25~17:40 コメント「ハンズオンから手学問へ――博物館の新たな展示手法を求めて」(加藤つむぎ)
17:55~18:10 総括「博物館情報論から考えるユニバーサル・ミュージアム」(及川昭文)