国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2018年3月25日(日)
開館40周年記念シンポジウム「民族誌コレクションの役割とその未来――人間の理解にむけた博物館の挑戦」

チラシダウンロード[PDF:1.89MB]

  • 日時:2018年3月25日(日) 13:30 - 16:30(開場 13:00)
  • 場所:国立民族学博物館 講堂
  • 一般公開(要展示観覧券/申込不要/定員450名[先着順])
  • 主催:国立民族学博物館
  • お問い合わせ:
    研究協力課国際協力係
    〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1
    TEL 06-6878-8235
 

趣旨

あらゆる現象を科学的な知識によって説明し、科学技術によって問題を解決することを志向する現代文明社会において、博物館はどのような意味をもつ空間なのだろうか。「人間とは何か」という根源的かつ魅力的な問題は、博物館においてどのように考えることができるのだろうか。今回のシンポジウムでは、人間を理解するための切り口を博物館のコレクションに求めてみたい。

 

プログラム

13:00 開場
13:30 開会挨拶
吉田憲司(国立民族学博物館長)
13:40 主旨説明
野林厚志(国立民族学博物館教授)
13:50 基調講演「美術作品・遺品・ヒトの収集と展示をめぐって」
木下直之(東京大学教授、静岡県立美術館長)
14:50 発表1「万博資料収集団の足跡」
野林厚志(国立民族学博物館教授)
15:10 発表2「万博資料収集団のオセアニアにおける収集活動」
丹羽典生(国立民族学博物館准教授)
15:30 休憩
15:40 パネルディスカッション
木下直之(東京大学教授、静岡県立美術館長) 野林厚志(国立民族学博物館教授)
丹羽典生(国立民族学博物館准教授) 上羽陽子(国立民族学博物館准教授)
16:30 終了

総合司会 上羽陽子(国立民族学博物館准教授)

 

講演内容

基調講演「美術作品・遺品・ヒトの収集と展示をめぐって」

木下直之(東京大学教授、静岡県立美術館長)

博物館とは立ち止まる場所だ。立ち止まることではじめて、世の中を振り返り、見渡すことができる。宇宙の果てから人間の深奥部まで何でも展示可能だが、結局は、人間とは何かを考えることになる。収集と展示にはかならず選別が働く。あえて美術作品、遺品、ヒトの収集と展示という観点から、博物館の可能性と限界を考えたい。

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<講師紹介>

幕末・明治期の造形表現の形成と変容と展開を、美術史学の枠組みを離れて、追求している。写真、芸能、祭礼、見世物、民衆娯楽に目を向けるとともに、それらの表現活動と社会の関係の解明にも取り組んでいる。著書に『美術という見世物』(平凡社 1993年)、『銅像時代』(岩波書店2014年)、『せいきの大問題』(新潮社 2017年)など。

 
発表1「万博資料収集団の足跡」

野林厚志(国立民族学博物館教授)

EEM(「日本万国博覧会世界民族資料調査収集団」)は、70年大阪万博のテーマ館であった太陽の塔の地下展示のため、世界の諸民族の仮面、神像、生活用具を収集した。現地の現実、日本人の乏しい世界の理解への葛藤等を団員たちが感じたEEMの収集活動とそのコレクションのもつ意味を、収集当時、現在、未来という視点で考える。

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<講師紹介>

人間と他の動物との関係を 、民族考古学・生業研究・物質文化論をとおして探究。近年では、現生人類の特徴としての道具作りと料理に焦点をあてた調査、研究をおこなっている。 著書に『タイワンイノシシを追う』(臨川書店2014年)、『台湾原住民族研究の射程』(順益台湾原住民博物館 2014年)など。

 
発表2「万博資料収集団のオセアニアにおける収集活動」

丹羽典生(国立民族学博物館准教授)

万博資料収集団によるオセアニアの収集活動を取り上げる。彼らが赴いた1960年代のオセアニア社会はどのような状況にあったのか、国や民族の自立という視点から分析する。また彼らが収集した標本資料の特徴とそれらが現在現地社会でどのような位置づけにあるのか、コレクションについて考えたい。

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<講師紹介>

専門は社会人類学、オセアニア地域研究。特にフィジーを対象として、文化変容・宗教的社会運動などについて研究。近年は、応援の比較文化論に手を伸ばしている。編著書に『〈紛争〉の比較民族誌』(春風社 2016年)、『現代オセアニアの〈紛争〉』(昭和堂 2013年)など。