機関研究の研究領域(2009.4-2016.3)
包摂と自律の人間学
領域代表:鈴木七美(研究戦略センター長)/ 研究期間:2009.10-2015.3
人類学的な歴史認識を探るということは、文献資料を中心とする歴史研究だけでは探りえない、一般民衆が抱く現在に対する時間軸に沿った認識を解き明かすことである。そのために、人類学では個人の記憶や集団の記憶である口頭伝承、技術・芸能の伝承などをも分析の対象とし、また、人々の記憶方法やそれを語る方法(言説)に着目する。研究者の視点を常に研究対象の側におくことはもとより、その視点から既存の文書その他の歴史関連資料を分析し直す。そのためには実地調査と平行して、それを裏付ける文献資料を渉猟する必要があり、そしてそれを解析するために他の歴史研究の分野、すなわち歴史学、考古学、民俗学、ときには文学などとの共同作業が必要となる。
- 中国における家族・民族・国家のディスコース(代表者:韓敏)
- ケアと育みの人類学(代表者:鈴木七美)
- 近代ヒスパニック世界における国家・共同体・アイデンティティ―スペイン領アメリカの集住政策の研究(代表者:齋藤晃)
- 支援の人類学:グローバルな互恵性の構築に向けて(代表者:鈴木紀)
マテリアリティの人間学
領域代表:寺田吉孝(先端人類科学研究部長)/ 研究期間:2009.10-2016.3
グローバル化が進む状況においてモノと人の関係を、人類学を核としつつ学際的に再検討して、新しい人間観の構築をめざします。モノと人の関係を、産業化や都市化、越境化などの脈絡で問い直し、また長期的時間軸を視野にいれて歴史的にも究明します。物神化の問題、人によるモノの収集と所有の問題、人工知能や情報技術など先端的科学技術と人の関係などが主要な研究テーマとなります。
- 手話言語と音声言語の比較に基づく新しい言語観の創生(代表者:菊澤律子)
- 文化遺産の人類学―グローバル・システムにおけるコミュニティとマテリアリティ(代表者:飯田卓)
- 民族学資料の収集・保存・情報化に関する実践的研究:ロシア民族学博物館との国際共同研究(代表者:佐々木史郎)
- 布と人間の人類学的研究(代表者:関本照夫)
- モノの崇拝:所有・収集・表象研究の新展開(代表者:竹沢尚一郎)