国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館外での出版物

大地の民に学ぶ――激動する故郷、中国(フィールドワーク選書18)

2015年11月30日刊行

韓敏 著

臨川書店

出版物情報

主題・内容

1980年代、改革開放路線を歩み始めた中国で、ひとりの女子大学生は自社会に対する疑問を解明するため、人類学を志した。日本で人類学の訓練を受け、故郷の中国で、農民の語る革命の実態と国家のシンボルである毛沢東への人びとの視線の変遷を切り口に、社会主義近代化の意義を見つめ直す。

目次

はじめに
人類学との出会い
ホーム人類学者を目指して日本へ
フィールドワークの構想―社会主義革命による中国文化の持続と変化を求めて
予備調査でフィールドをきめる
第一章 フィールドワークのスタート
恩師たちの伝授
大家をとおして村の実力者たちとの初対面
寒い冬の伝統的はきもの、「毛窩子」との出会い
一日三食、麺?
村落社会の年中行事・冠婚葬祭・ことわざからみる麺食
第二章 村人に近づき、村の一員になりきる
挨拶から学ぶ村の人間関係
地元政府から調査許可をもらう
村人との「四同」―ともに食べ、住み、家事・農作業をし、同じ方言でしゃべる、畑でともに汗を流す
第三章 村人の社会主義革命の実践と語り
地主の多い村の土地改革
人民公社―老若男女が巻き込まれた悲壮な社会実践
第四章 春風吹又生―人民公社解散後の宗族の再興
村人の移動のルーツを確かめ、始祖村を訪ねる
「小七房」祖先のモニュメントの再建/文化持続のメカニズム
第五章 女性研究者だから体験できた漢族のもう一つの世界
義理の姉との出会い
中国文化のなかの女
女性のキリスト教信者
村人との再会と村の変化
第六章 文化の変化と持続を問いつづける
観光人類学との出会い
毛沢東観光化の事始め―湖南省韶山、陝西省、四川省での調査
指導者崇拝の比較―ベトナムでの調査
グローバル時代の「歴史」の資源化
結び