国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

国立民族学博物館論集(みんぱく論集)

[2]キリスト教文明とナショナリズム――人類学的比較研究

2014年3月31日刊行

杉本良男 編

風響社
【共同研究成果】

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出版物情報

主題・内容

本論集は、共同研究「キリスト教文明とナショナリズム-人類学的研究」(2007-10年)の研究成果である。本書では、フランス革命以後の世界におけるいわゆる「キリスト教文明」による「文明化」の功罪について、人類学的視点から批判的に検討したものである。

目次

序論 再定義からナショナリズムへ――ポスト・ポスト時代の人類学的宗教研究(杉本良男)
Ⅰ 現代と伝統
祖先と夢見――東部インドネシア・フローレス島のカトリックの村における伝統宗教の再創発(青木恵理子)
長崎外海のカクレキリシタン信仰に見る托鉢修道会の布教活動(岡美穂子)
現代カトリックにおける「邪悪なもの」の再定位:悪魔の領域としての邪視・占い・ニューエイジ(藤原久仁子)
Ⅱ リアルとヴァーチャル
「私たち」とは誰のこと?――インド、ゴア社会の演劇ティアトルにみるキリスト教徒の語り(松川恭子)
奇蹟譚のポリティカル・エコノミー――南インド、ウェーラーンガンニ聖堂のメディア戦略(杉本良男)
ペンテコスタリズムとスリランカ社会――その自生的展開について(川島耕司)
Ⅲ 平準化と多様性
ヴァヌアツ独立運動におけるキリスト教とナショナリズム(白川千尋)
キリスト教とナショナリズム――フィジー・イメージの出現(橋本和也)
難民と十字架――ティモール島における宗教と言語の位相からみた国境問題(辰巳慎太郎)
Ⅳ 二項対立図式の逆説
日本のなかのグローバル・サウス――文明化とエスニックな教会(高崎恵)
教会を模倣するカースト、カーストに囲い込まれたヒンドゥー――インド・ケーララ地方におけるキリスト教的文明化作用の結節点(小林勝)
オーストラリア・ナショナリズムの変化と先住民(窪田幸子)
あとがき
索引