国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱっく 活用例「比べてみよう世界の文化」

大阪市立平尾小学校
「比べてみよう世界の文化」
担当:高澤 素子先生
学習期間:平成17年4月~6月
学年:6年生(67名)
パックの種類及び使用科目:
ソウルスタイル」総合学習にて使用
学習のねらい:
文化を比較することで多文化に興味を持ち、国際理解を深める。
※教科書グループ 日本の教科書と比べているところ
※教科書グループ 日本の教科書と比べているところ
 
○テーマを通して子どもたちに感じて欲しかったこと
 子ども達は5年生までに、貿易などで日本と関係の深い国について学習してきました。しかしそれらの国について詳しく学習する機会は少なく、また、その他の国や地域、さまざまな文化については、ほとんど学習したことがありませんでした。
そこで、「比べてみる」という子ども達にとってわかりやすい活動を通して、他の国や地域の文化に興味を持ち、自分たちとは異なった文化を理解していくことにつながればと思い、このテーマを設定しました。
この「文化を比べてみる」という活動の中で、自分たちの国と似ているところ、違うところ、すばらしいところ、びっくりするところ、など、たくさんのことを感じ、それらの国を身近に感じられるようになってくれたらと考えました。
 
 
○授業の流れ
時間 学習内容 備考
 
自分が決めたテーマについて、民族学博物館を見学したり、
本やインターネットを使って比較してみる (全5時間)
調べて比較するテーマを決める。
※民族学博物館のパンフレットを参考にしながら、自分の調べたいテーマを決め、テーマごとにグループを決める。(民族学博物館見学は、そのグループで)
●子ども達が選んだテーマ
衣装・アクセサリー・はきもの
お面・楽器・食器・食べ物・言語
遊び道具・乗り物
 
国立民族学博物館 見学
※遠足(学校行事)のため、授業時間数には含まず
民族学博物館で調べてきたことを整理する。 インターネットや本も使い、詳しく調べる。 ●『国立民族学博物館展示ガイド』や『みんぱく子どもガイド』がとても役に立ちました。
調べたことをまとめる ●『みんぱく子どもガイド』からイラストなどを切りぬき、貼り付ける資料として使っている子どもが多くいました。
※世界地図の印刷された用紙に、調べたことを書き込んだり、資料を貼り付けたりして、わかりやすくまとめる。
まとめたことを発表する
 
「日本の小学生(自分たち)と韓国の小学生の暮らし」にスポットをあて、
“みんぱっく”を使って比較してみる。 (全5時間)
テーマを決め、相違点を予想する。
※ テーマは、みんぱっくの中に入っているものから、こちらが設定。その中から子どもたちの希望で決定。

※ ワークシートに相違点を予想して、発表する。
 
● 設定したテーマ(10種類)
文房具・教科書・給食
学校に行くときの服装や持ち物
食器、食習慣・民族衣装
お金・遊び・お面・楽器
● 子どもたちの予想
・韓国の小学生の方が、難しい教科書を使っていると思う。
・給食には毎日キムチがはいっていそう。
・文房具は、キャラクターなどがなくて、シンプルだと思う。
など
● 予想が当たっていたり、はずれたりして、グループでとても盛り上がりながら比べていました。
● 予想以上に子どもたちが相違点を発見したため、カードが足りなくなり、途中で追加印刷したほどでした。
● 実物があるため、わかりやすく、子どもたちは他のグループの発表も興味深く聞いていました。

“みんぱっく”を使い、比べてみる。
※ ワークシートに相違点をまとめる。
 
『比べてみようカード』を作成する。
※グループで相談しながら、相違点をカードにまとめる。
 
調べたことを発表する。
※ “みんぱっく”に入っていた実物も使いながら発表する。
 

遊びグループ
※遊びグループ
給食グループ
※給食グループ
写真資料を調べているところ
※写真資料を調べているところ
お金グループ 調べているところ
※お金グループ 調べているところ
発表の様子 民族衣装グループ
※発表の様子 民族衣装グループ
発表の様子 学校に行くときの服装や持ち物グループ
※発表の様子
学校に行くときの服装や持ち物グループ
 
○“みんぱっく”の利用にあたり工夫した点や心がけたこと
 テーマを多く(10種類)用意したことで、子どもたちは自分の興味関心にあったテーマを選ぶことができました。また、実物を見る前に相違点を予想したことで、実物を見ることをより楽しみにし、大変意欲的に取り組むことができたように思います。
 また、活動の途中では、「自分の選んだテーマのものにしか触らない」ということにしていたので、子どもたちは他の友達により詳しく相違点を伝えようと熱心に調べることができました。

○子どもたちの反応
 パックは、とても子どもたちの役に立ちました。同じ「調べる」という活動でも、本やインターネットを使った活動と実物を使った活動では、やはり子ども達の反応が違います。実際に触ってみることで、子どもたちは多くのことを発見し、多くのことを感じることができたように思います、子ども達は熱心に“みんぱっく”に入っていたものを調べ、相違点を書き込むカードも予想以上に多く使いました。発表でも他のグループのものをとても興味深く熱心に聞いていました。発表後、「他のグループが調べたものもさわってみたい」という声が多く出たので、見学する時間もとりました。
 また、全体の活動を通して、子どもたちは、“みんぱっく”に入っていたものをとても慎重に扱っていました。

※発表後の見学の様子
発表後の見学の様子 発表後の見学の様子
 

○“みんぱっく”を使ってみた感想 (高澤先生)
 みんぱっくを使った授業は、予想以上に盛り上がり、子どもたちに好評でした。「ソウルスタイル」には、「小学生の暮らし」に関するモノが入っていたため、子どもたちにとっても身近に感じやすく、細かいところまで関心を持つことができたと思います。説明カードも子ども達にわかりやすかったです。
 また、中に入っていた写真などの資料も豊富で、子どもたちが相違点をまとめる際にとても役に立ちました。みんぱっくの授業は子どもたち同様、私も一緒になって楽しむことができました。
 また、機会がありましたら、“みんぱっく”を利用させて頂きたいと思います。
 本当にありがとうございました。