第1回学際研究会 官僚制文書主義の比較研究
本研究班の目的の一つは、アーカイブズ学・文献史学・文化人類学・文学が共通の分析対象としている文書(ぶんしょ)を手がかりに学際的交流を行うことである。これまでは準備研究として各学問の素材分析方法を披露しあってきた。今年度から、異なる学問の研究者が共有可能なテーマを選択しつつ本格的な研究交流を開始したい。今回はその第一回として、官僚制文書主義をテーマとして取り上げる。官僚制文書主義は古代から現代にいたる世界各地に見出されるが、ここでは、議会という政策決定システムを本国に持ちながらそれとは直接的な関係を有していなかった英領インドにおける官僚制と、アジアの伝統的王朝の一例としての近代化直前段階の日本のような議会を欠くなかで政策決定を行う官僚制とを比較する。その場合、それぞれの文書が当該の統治組織において、さらには在地社会との関係のなかでどのような機能あるいは意味を持つのかを考えることが重要であり、とりわけ<組織のなかでの文書の作成・授受・管理>という視角を共有・堅持することが学問と地域の差異を乗り越えるための方法となるであろう。
【日時】2010年12月27日(月) 午後1時30分より
【会場】人間文化研究機構国文学研究資料館2階オリエンテーション室
【プログラム】
- 13:30 趣旨説明
- 13:40
- 三野行徳(日本近世史、東洋英和女学院大学(非常勤))
- 「江戸幕府官僚制と文書―勘定所・代官を中心に―」
- 三野行徳(日本近世史、東洋英和女学院大学(非常勤))
- 14:50 休憩
- 15:00 館蔵文書見学(三野・渡辺)
- 15:30
- 三瀬利之(文化人類学、清泉女子大学(非常勤))
- 「英領インドの官僚制と文書主義―内務省の事務処理過程にみるその特質―」
- 三瀬利之(文化人類学、清泉女子大学(非常勤))
- 16:40 全体討論
- 17:00 終了予定
第2回学際研究会 官僚制文書主義の比較2
昨年度に引き続き、官僚制文書主義の学際的国際的比較を行う。昨年度は、行政機構内部における文書行政を対象としたことに対し、今回は、行政機構外部あるいは末端における文書行政機能を対象とする。私的な契約行為を公証する行為は地球上の各地で行われたが、その担い手は非常に多様である。例えば、日本近世では、被支配身分の上層である共同体の代表者(名主や庄屋)が文書行政を委任されていたため、公証機能は彼らの職務の一つであった。一方、公証人という稼業は、日本以外の近世・近代社会に広く見られたが、近代ボリビアにおける公証人は植民地の官僚機構を文書管理の実務面から支える専門家でもあった。このように文書行政は狭義の官僚以外の多様な存在によって遂行されていることから、官僚制文書主義という視角の射程をはかることも期待される。
【日時】2011年9月29日(木) 午後1時30分〜午後5時30分
【会場】人間文化研究機構国文学研究資料館2階オリエンテーション室
【プログラム】
- 13:30 自己紹介・趣旨説明
- 13:40
- 工藤航平(国文学研究資料館機関研究員)
- 「日本近世の村社会における名主奥印制度とアーカイブズ」
- 工藤航平(国文学研究資料館機関研究員)
- 14:50 休憩
- 15:00 館蔵文書見学(工藤・渡辺)
- 15:30
- 吉江貴文(広島市立大学准教授)
- 「近代ボリビアにおける公証人制度と文書管理」
- 吉江貴文(広島市立大学准教授)
- 16:40 全体討論
- 17:30 終了予定
- 17:30 今後の研究計画打ち合わせ
- 18:00 懇親会
第3回学際研究会 書籍のモノ情報と内容情報
【日時】2012年5月19日(土) 午前10時30分〜午後5時30分
【会場】人間文化研究機構国文学研究資料館2階 オリエンテーション室
【プログラム】
- 10:30 自己紹介・趣旨説明
- 10:40
- 青木 睦(国文学研究資料館准教授)
- 「文書・書籍の紙質調査法」
- 青木 睦(国文学研究資料館准教授)
- 12:00 昼休み
- 13:30
- 渡辺浩一(国文学研究資料館教授)
- 「町触と印刷」
- 14:50 休憩
- 15:00
- 入口敦志(国文学研究資料館助教)
- 「様式論としての書誌学―芭蕉のめざしたもの―」
- 16:20 全体討論
- 17:30 終了予定
- 18:30 懇親会 立川駅北口の居酒屋
「書物と社会変容」研究会との共催
第1回海外招聘研究会 契約文書の比較-オスマンと日本近世-
本研究班は、国文学研究資料館編『中近世アーカイブズの多国間比較』(岩田書院、2009年)において明らかにされた世界6地域における組織と文書の概略的比較を基礎として、より個別に踏み込んだ文書資料の研究を行う。第1回海外招聘研究会は、今年度の韓国シンポジウムが「契約文書」をテーマとしていることと連動させて、同じテーマで開催することとなった。ここでは、オスマンと日本近世における土地売買契約文書を比較する。予想される論点としては、契約内容の公証の主体と方法、契約をめぐる紛争解決のシステムといった点が考えられる。この二点を通じて、個人・集団・国家という三者間の相互関係が浮かび上がって来るであろう。
【日時】2011年1月6日(木) 午後1時30分より
【会場】人間文化研究機構国文学研究資料館2階オリエンテーション室
【プログラム】
- 13:30 趣旨説明
- 13:40
- 渡辺浩一(アーカイブズ史、国文学研究資料館)
- 「日本近世都市における土地売買契約文書」
- 渡辺浩一(アーカイブズ史、国文学研究資料館)
ジャン・エルキン(アンカラ大学)トルコ語訳
- 14:50 休憩
- 15:00 史料見学(渡辺)
- 15:30
- ヒュルヤ・タシュ(オスマン史、アンカラ大学)
- 「オスマン朝の契約―個人と個人、個人と組織、個人と国家―」
- ヒュルヤ・タシュ(オスマン史、アンカラ大学)
ジャン・エルキン日本語訳
- 16:40 全体討論
- 17:00 終了予定
- 17:30 懇親会
通訳:日本語→トルコ語 ジャン・エルキン、トルコ語→日本語 沢井一彰(日本学術振興会特別研究員)
第2回海外招聘研究会 契約文書の近代化
【日程】2011年9月30日 午前10時30分〜午後1時
【場所】人間文化研究機構国文学研究資料館2階オリエンテーション室
【プログラム】
- 10:30 趣旨説明
- 10:40
- 金 炫栄(韓国・国史編纂委員会)
- 「韓国における前近代から近代への所有権文書意識の変化:海南尹氏孟骨島文書を中心にして」
- 金 炫栄(韓国・国史編纂委員会)
- 11:40 討論
- 12:30 前日の学際研究会も含めた全体討論
- 13:00 終了予定
第3回海外招聘研究会 <私的な書き物>へのアプローチ
【日程】2012年9月4日 午後1時~午後5時
【場所】国文学研究資料館 第二会議室
【プログラム】
- 13:00 自己紹介・趣旨説明
- 13:10
- 朴晋熯(仁川大学校/国文学研究資料館)
- 「16・17世紀における私日記の盛行とその意義―士大夫と武士の日記を中心にして」
- 朴晋熯(仁川大学校/国文学研究資料館)
- 14:40 休憩
- 15:00 館蔵文書見学
- 15:30
- フランソワ=ジョゼフ・ルッジウ(パリ第4大学)
- 「データベースとその学術的沿革―「中世末から1914年までのフランスにおける私的文書」に関する研究グループの業績」
- フランソワ=ジョゼフ・ルッジウ(パリ第4大学)
- 17:00終了予定
- 17:30 懇親会
第1回国際研究会 東アジア契約文書の諸様相
本研究班は、国文学研究資料館編『中近世アーカイブズの多国間比較』(岩田書院、2009年)において明らかにされた世界6地域における組織と文書の概略的比較を基礎として、より個別に踏み込んだ文書資料の研究を行う。
今年度の海外国際シンポジウムでは、本国際研究会では東アジア3国のさまざまな場面における契約文書の比較を通し、それぞれの国家と社会の性格を理解しうる基礎を固めることを目的とする。
【日時】2011年1月8日(土) 午後9時00分より
【会場】韓国学中央研究院 会議
【プログラム】
- 趣旨説明、および参席者紹介
- 金炫栄(韓国古文書学会会長)、渡辺浩一(日本国文学研究資料館)
- 第1部
- 明清時代における個人間の契約文書
- 臼井佐知子(日本 東京外国語大学)[韓国語翻訳:金鎮淑]
- 日本近世の土地売買慣行と東アジア小農民社会
- 白川部達夫(日本 東洋大学)[韓国語翻訳:金鎮淑]
- 朝鮮時代における個人間の契約文書
- 文叔子(韓国 前 国史編纂委員会)[日本語翻訳:加藤裕人]
- 明清時代における個人間の契約文書
- 第2部
- 地域の知識の伝承と社会秩序の維持:清代徽州の村落日用書類を中心として<ペーパー参加>
- 王振忠(中国 复旦大学)[日本語翻訳:小谷洵 韓国語翻訳:任贊赫]
- 日本近世における村落連合の運営と記録保存
- 高橋実(日本 国文学研究資料館)[韓国語翻訳:金鎮淑]
- 朝鮮時代 村落団体としての契約文書
- 鄭震英(韓国 安東大学校)[日本語翻訳:加藤裕人]
- 地域の知識の伝承と社会秩序の維持:清代徽州の村落日用書類を中心として<ペーパー参加>
- 論評と討論
- 三浦徹(イスラム史)、岡崎敦(西洋史)、須川英徳(経済史)、鄭肯植(法制史)、李憲昶(経済史)
- 討論
通訳:朱海燕、田中俊光、ジャン・エルキン、澤井一彰
共催 韓国古文書学会 国文学研究資料館
第2回国際研究会 前近代社会における秩序維持の手段:紛争処理の文書
【日時】2011年12月9日
【会場】アンカラ大学(トルコ・アンカラ)
【プログラム】
- 開会の挨拶、趣旨説明、参席者紹介(9:30)
- ジャン・エルキン(アンカラ大学)
- 渡辺浩一(国文学研究資料館)
- ラフミ・エル(アンカラ大学)
- 第1部(10:00 – 12:00)
- 杉本史子(東京大学)
- 「近世裁判再考」
- ヒュルヤ・タシュ(アンカラ大学)
- 「17、18世紀オスマン朝社会における紛争解決の諸経路―地方法廷と調停の適用―」
- 杉本史子(東京大学)
- 第2部(13:30-15:30)
- ジュリデ・アクユズ・オラトゥ(カフカス大学)
- 「オスマン朝社会の紛争問題における終審機構としての御前会議」
- 岩淵令治(国立歴史民俗博物館)
- 「日本近世都市における紛争処理文書―土地所有権をめぐる訴訟を事例に―」
- ジュリデ・アクユズ・オラトゥ(カフカス大学)
- コメント及び討論(16:00-18:00)
- コメント1 エヴゲニア・ケルメリ(ビルケント大学)
- コメント2 メフメット・オズ(ハジェテペ大学)
- 全体討論
通訳:ジャン・エルキン、澤井一彰、安達智英子
第3回国際研究会 近世東アジアにおける紛争解決と文書
【日時】2012年11月25日
【会場】上海師範大学
【プログラム】
- 9:30-10:00 開会の辞、趣旨説明、出席者紹介
- 10:00-11:00
- 宮原一郎(川越市立博物館)
- 「17世紀における幕府裁許と村作成絵図」
- 宮原一郎(川越市立博物館)
- 11:00-12:00
- 金景淑(朝鮮大学校)
- 「朝鮮後期の山訟の展開過程と滞訟」
- 金景淑(朝鮮大学校)
- 12:00-13:00 昼食
- 13:00-14:00
- 王振忠(复旦大学)
- 「19世紀における省を跨ぐ訴訟案件の処理」
- 王振忠(复旦大学)
- 14:00-15:00
- 岩城卓二(京都大学)
- 「近世の行政・裁判をささえる民間業者-郷宿の役割-」
- 岩城卓二(京都大学)
- 15:00-15:15 休憩
- 15:15-16:15
- 唐力行(上海師範大学)
- 「碑刻からみる清代蘇州の商業と訴訟」
- 唐力行(上海師範大学)
- 16:15-16:40 総合討論
- 16:40-17:00 議論の総括と閉会の辞
第4回国際研究会 西欧および日本中世の都市空間における私文書の公証
【日時】2013年10月14日、15日
【会場】アルザス人文科学大学共用館公開討論ルーム
【プログラム】
- ◆ 10月14日(月)
- 15:00-15:20 開会挨拶および趣旨説明
- 開会挨拶:渡辺浩一(国文学研究資料館)
- 趣旨説明:ブノワ=ミシェル・トック(ストラスブール大学)
- 15:20-15:30 出席者自己紹介
- 15:30-17:00 第1セッション「序論および文書形式」
- 議長:岡崎敦、アンドレアス・マイヤー(マールブルク大学)
- 各30分報告、30分質疑
- 15:30-16:00 高橋一樹(武蔵大学)「中世日本における私文書の公証とその方法」
- 16:00-16:30 ブノワ=ミシェル・トック「中世ヨーロッパにおける私文書公証の手段としての教会の印章について」
- 16:30-17:00 質疑
- ◆ 10月15日(火)
- 9:30-11:00 第2セッション「都市における公証」
- 議長:渡辺浩一、ラファエル・エケール(ストラスブール大学)
- 9:30-10:00 仁木宏(大阪市立大学)「15・16世紀京都における都市構造と「都市文書」」
- 10:00-10:30 トマ・ブルネール(ストラスブール大学)「中世北西ヨーロッパにおける都市の公証制度」
- 10:30-11:00 質疑
- 11:00-11:20 休憩
- 11:20-12:50 第3セッション「私的な法行為とその制御 ―社会的諸力との関わり―」
- 議長:高橋一樹、チエリ・ペク(サン=テチエンヌ大学)
- 11:20-11:50 清水克行(明治大学)「日本中世後期の売買・貸借契約文書と公権力」
- 11:50-12:20 アンドレアス・マイヤー(マールブルク大学)「中世ヨーロッパの公証人制度」
- 12:20-12:50 質疑
- 12:50-14:30 昼食休憩
- 14:30-16:00 総合討論
- 議長:岡崎敦、ブノワ=ミシェル・トック
- 16:00- 総括
- アンナ・アダムスカ(ユトレヒト大学)
- 【主催】
ストラスブール大学「ヨーロッパ藝術、文明、歴史研究単位」
人間文化研究機構連携研究「人間文化資源の総合的研究」研究班「9-19世紀文書資料の多元的複眼的比較研究」の共同研究
フランス国立科学研究センター共同研究GDR 3177 「文書形式学」 - 【支援】
アルザス人文科学大学共用館
ストラスブール大学歴史学部
第5回国際研究会 近世都市における個人と集団の記憶
【日時】2014年9月27日、28日
【会場】国文学研究資料館 2階 オリエンテーション室
【プログラム】
- ◆ 9月27日(土)
- 13:30 趣旨説明:渡辺浩一(国文学研究資料館)
- 第1セッション:自己語り(司会:高橋一樹(武蔵大学))
- 13:40 <報告1>巨大都市江戸における居住者と自己認識:岩淵令治(学習院女子大学)
- 14:40 <報告2>アンシャン・レジームから革命までのフランス都市部における都市民意識、都市体験、アイデンティティ:フランソワ=ジョゼフ・ルッジウ(パリ第四大学)
- 15:40 休憩
- 16:00 <報告3>18~19世紀のソウル知識人の自己と社会認識―朴斉家と沈魯崇の場合―:金炫栄(韓国国史編纂委員会)
- 17:00 閉会
- ◆ 9月28日(日)
- 第2セッション:記憶(司会:川名洋(東北大学))
- 10:00 <報告4>近世日本地方都市の記憶にみる自己・家・社会集団:渡辺浩一(国文学研究資料館)
- 11:00 <報告5>イングランド地方中核都市における自己の構築と都市民意識の構築―1660年から1800年まで:ローズマリー・スウィート(レスター大学)
- 12:00 昼食
- (司会:渡辺浩一(国文学研究資料館))
- 13:00 <報告6>都市民的文脈における記憶・歴史・個人―近世ロンドンの場合:ヴァネッサ・ハーディング(ロンドン大学)
- 14:00 <報告7>集合的記憶の構築を通じた自己の超越―ヴェネツィアにおける近世の都市民意識の誕生:ドリット・ライネス(ヴェネツィア大学)
- 15:00 休憩
- コメントと討論(司会:三浦徹(お茶の水女子大学))
- 15:20 <コメント1>明清史から:臼井佐知子(東京外国語大学)
- 15:50 <コメント2>イスラーム史から:秋葉淳(千葉大学)
- 16:20 全体討論
- 【共催】
比較都市史研究会
人間文化研究機構連携研究「人間文化資源の総合的研究」
研究班合同研究会「前近代日本における官僚制的文書主義」
- 1.日時 2013年9月7日(土)13:30~15:30
- 2.会場 国文学研究資料館オリエンテーション室
- 3.報告
- 13:30
- 古代官司の書類と業務―正倉院文書の解析から―:山口英男(東大史料編纂所)
- 司会:仁藤敦史
- 14:40
- 意思決定の記録と伝達にみる日本中世の官僚制的組織と文書(仮):高橋一樹(武蔵大学)
- 司会:富田正弘
- 15:50 休憩
- 16:00
- 幕府役職と大名・旗本(仮):大友一雄(国文学研究資料館)
- 司会:渡辺浩一
- 17:10 全体討論
- 13:30
- 4.主催
- 人間文化研究機構連携研究「<人間文化資源>の総合的研究」
- 研究班「正倉院文書の高度情報化研究」(代表者仁藤敦史)
- 研究班「9-19世紀文書資料の多元的複眼的比較研究」(代表者渡辺浩一)