機関研究の研究領域(2004.4-2013.3)
社会と文化の多元性
領域代表:宇田川妙子(先端人類科学研究部)/ 研究期間:2004.4-2010.3
人・モノ・情報の大量移動を内包して展開する現代世界は、複数の文化・民族が、時空間を共にする多元的な社会の姿を呈示している。本課題は、差異を内包した社会が、いかに自らを再生産していくのか、そこで何が起こり、何が生まれるのか、を問題とする。また、本課題は、国民国家をはじめとする近代の諸制度の批判的検討を含んでいる。
- 観光とグローカリゼーション―東アジアの視点から(代表者:韓敏)
- ライフデザインと福祉(Well-being)の人類学-多機能空間の創出と持続的活用の研究-(代表者:鈴木七美)
- 運動の現場における知の再編(代表者:宇田川妙子)
- 多元的共生空間の創成に関する研究(代表者:横山廣子)
- トランス・ボーダーの人類学(代表者:庄司博史)
人類学的歴史認識
領域代表:塚田誠之(先端人類科学研究部)/ 研究期間:2004.4-2010.3
人類学的な歴史認識を探るということは、文献資料を中心とする歴史研究だけでは探りえない、一般民衆が抱く現在に対する時間軸に沿った認識を解き明かすことである。そのために、人類学では個人の記憶や集団の記憶である口頭伝承、技術・芸能の伝承などをも分析の対象とし、また、人々の記憶方法やそれを語る方法(言説)に着目する。研究者の視点を常に研究対象の側におくことはもとより、その視点から既存の文書その他の歴史関連資料を分析し直す。そのためには実地調査と平行して、それを裏付ける文献資料を渉猟する必要があり、そしてそれを解析するために他の歴史研究の分野、すなわち歴史学、考古学、民俗学、ときには文学などとの共同作業が必要となる。
- ユーラシアと日本 ─ 交流とイメージ(代表者:塚田誠之)
- 社会主義的近代化の経験に関する歴史人類学的研究(代表者:小長谷有紀)
文化人類学の社会的活用
領域代表:岸上伸啓(先端人類科学研究部)/ 研究期間:2004.4-2009.3
文化人類学者は世界各地において長期にわたるフィールドワークを実施し、現地社会に関する知識を蓄積するとともに、現地社会との間で密接な社会関係を構築してきた。この課題では、文化人類学者によるフィールドワークとその成果、人類学的な知見・視点などが、国内外の社会や経済、医療、教育、文化、人口、資源などに関わる諸問題の解決を図るうえでどのように活用することができるかを検討する。また、政府機関やNGOによる開発援助が現地社会に及ぼす諸影響の調査や開発現象自体の研究、援助機関を対象とした研究も重要なテーマである。
- 日本における応用人類学の展開のための基礎的研究(代表者:岸上伸啓)
- 災害対応プロセスに関する人類学的研究(代表者:林勲男)
- 人類学的知識の活用(代表者:田村克己)
新しい人類科学の創造
領域代表:齋藤晃(先端人類科学研究部)/ 研究期間:2004.4-2010.3
急速に変貌をとげる現代世界は、激動と混迷の時代を迎えており、文化人類学・民族学をはじめとする人文社会科学は、従来のディシプリンをこえた新たな展開を迫られている。本課題は、新しい人類科学の創造をめざして、基礎的な方法論から再検討を行い、また文化人類学・民族学と関連諸分野とのディシプリンを超えた協働の可能性を探求しつつ、知の組み替えをはかろうとするものである。
- 東アジアの村落社会における「近代」の再考(代表者:太田心平)
- 言語変化研究の新たな方法論をめざして-ことば・社会・歴史-(代表者:菊澤律子)
- 伝統芸能の映像記録の可能性と課題(代表者:福岡正太)
- テクスト学の構築(代表者:齋藤晃)
- ニュー・ミュージオロジーの構築に向けての実践的研究―文化資源の活用における倫理・論理・技術(代表者:吉田憲司)
- 思い出はどこにいくのか?─ユビキタス社会の物と家庭にかんする研究(代表者:佐藤浩司)
- 文化的アイデンティティと公共空間の創出(代表者:竹沢尚一郎)
- 発酵食品・製品と感覚受容―環境と現行する記憶(代表者:泉幽香)