国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱっく イスラム教とアラブ世界のくらし

 
ぱっくの種類
16女性用外套16簡易ヒジャーブ着付
女性用衣装
a 女性用外套〈トウブ〉
b スカーフ〈ヒジャーブ〉
サイダ/レバノン

女性が外出時、通常の衣服の上に着る外套とスカーフです。イスラム教では、女性は「美しいところ(=肉体)は人に見せないよう」にすることが望ましいとされています。体の線がみえないようにするためのものなので、たっぷりとしたつくりになっています。 10 ~ 12 歳ごろから身に着けるのが一般的です。欧米におけるフェミニズム運動の高まりを受けて、女性抑圧のシンボルと扱われていた時期もあったため、かつては高学歴女性のなかには、身に着けない者も多くいました。現在はイスラム復興運動の影響により、すすんで身に着ける女性が増えています。なお、顔を隠すための「ニカーブ」という布もありますが、顔を隠すことについては、イスラム教で特にきまりはありません。

菅瀬先生からのひとこと

もちろん、この外套の下には通常の衣服を着ています。親兄弟には体の線を見せてもかまわないので、来客があるとき以外は、家庭で身に着けることはありません。パレスチナに留学していたとき、女子学生寮に住んでいたのですがみな普段はジーンズにT シャツというラフな格好をしていました。ガス会社の男性が訪ねてきたとき、あわてふためいてトウブとヒジャーブを身に着けていたのが、ほほえましかったです。中東で西洋化がもっとも進み、海に面したレバノンでは、ビーチで露出度の高い水着を着る女性もいますが、今でも多くのイスラム教徒女性は、トウブを着たまま海水浴をします。イスラム教徒でなくとも、イスラム教徒と接するときには、トウブやヒジャーブを身に着けると尊敬される傾向があります。また、トウブにもヒジャーブにも流行があり、ことにヒジャーブは、おしゃれな女性ならば材質や柄にこだわるだけではなく、巻き方にも工夫をこらします。現在(2012 年)レバノンでは、髪を高く結った上に柄物のヒジャーブをかぶり、たくさんドレープをつけて、豪華に巻くのが流行っています。ただし、そのように巻くには、相当の気合いと時間、そして手先の器用さが要求されます。固定するために、待ち針をたくさん使うので、激しく動き回ることもできません。対して、このヒジャーブは、頭にくぐらせるだけの簡易版。朝忙しい女性や、まだヒジャーブを巻き慣れない少女たち、あるいは不器用な女性のためのものです。日本のみなさんにも、手軽にヒジャーブを体験していただくために、あえてこれを選びました。

参照資料

『アラブ・ムスリムの日常生活』p.69 ~p.70
『 カラー版 メッカ』 p.163
『イスラームの日常生活』p.74

モノ情報カード

女性用衣装

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