国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱっく イスラム教とアラブ世界のくらし

 
ぱっくの種類
18魔除け数珠18邪視除け
魔除け・邪視除け
a 魔除け用数珠〈マスバハ〉
b ドア用邪視除け〈ヤド・ファーティマ〉
サイダ/レバノン

数珠はイスラム教でも重要な礼拝道具であり、男性も女性も持ち歩いています。ただし、この数珠は礼拝ではなく、魔除けのためのもので、自動車のバックミラーにかけられているのを、よくみかけます。中東地域では、魔除けとして目をあしらったアイテムが多用されています。この場合の魔とは、他人からの嫉妬の視線、すなわち「邪視」のことです。目のほかに、手をあしらった「ファーティマの手」という護符にも、邪視を除ける力があると信じられています。また、色にも重要な意味があり、青、ことにこの数珠のような濃い青には、邪視除けの強力な力があるとされています。そのため、邪視除けの目の形をしたお守りは、たいてい青色をしています。

菅瀬先生からのひとこと

邪視にまつわる俗信は、イスラム教以前の慣習に由来しています。中東だけではなく、インドやヨーロッパの地中海沿岸でもみられるものです。青い目のお守りは、トルコ語では「ナザール・ボンジュウ」といい、最近日本でもエスニック雑貨店でよくみかけるようになりました。観光地では、ストラップの好きな日本人のために、邪視除けストラップが商品化されて、お土産屋で売られています。赤ちゃんの産着には必ずつけられますし、成人後も多くの人がペンダントやブレスレットにしたり、車や家につけたりしています。もっとも、家につける場合は、これみよがしにじゃらじゃらとつけるよりも、こっそりドアの裏や、玄関の上などにつけるほうが効果的だと考えられています。他人の邪視除けに、みだりに触るのもご法度。日本の神社のお守りを、「邪視除け」だと紹介したら、それまで興味深げに触っていた少女たちが、びっくりして手を放したこともあります。また、ドア用邪視除けは、蹄鉄と組み合わせてあるのが、興味深いところ。蹄鉄をラッキーアイテムと考えるのは、アラブではなくヨーロッパの慣習なので、双方の慣習が交錯した末にうまれたものといえます。

参照資料

『アラブ・ムスリムの日常生活』p.196 ~p.197
『イスラームを知る6 新月の夜も十字架は輝く−中東のキリスト教徒』p.34

モノ情報カード

魔除け・邪視除け

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