国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱっく アイヌ文化にであう

 
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制作担当教員・佐々木利和(元・教授)からのメッセージ

みなさんは「アイヌ」という言葉をきいて、何を思いうかべるでしょうか。聞いたことはあっても、よくわからないという人も多いかもしれません。「アイヌ」は、アイヌ語で「人間」という意味をもっています。

じつはみなさんの身の回りにも、アイヌの言葉があります。サンタクロースのそりを引く「トナカイ」や、水族館などで人気者の「ラッコ」などはアイヌ語です。また、「サッ・ポロ・ペッ(札幌)」や「リ・シ(利尻)」など、北海道の地名からもたくさんみつけることができます。知らない間に、みなさんもアイヌの言葉を使っていたのですね。

2008年6月に、国会でアイヌの人々が日本の先住民族として認められ、さまざまなところでアイヌ文化は注目を集めています。アイヌの人々も昔から日本に住み、多くの文化や歴史を築いてきました。しかし、今もなお伝統的な生活様式でくらしているアイヌの人々はいません。私たちのまわりに、ちょんまげ姿の侍がいないのと同じです。けれども、伝統や文化などは、受け継がれており、今後も後世に伝えていく必要があるのです。

みんぱっく「アイヌ文化にであう」には、織り、編み、彫り、楽器、言葉、食事などさまざまな観点から選んだモノが入っています。より多くの人がアイヌ文化にであい、大自然の中で神(カムイ)とともにくらしてきたアイヌの人々の知恵や伝統を学習し理解してほしいと思います。このぱっくがその手助けになれば幸いです。

制作担当教員・齋藤玲子のメッセージ

アイヌ民族は、日本の北の方とくに北海道に住んできた民族です。とうとつですが、みなさんは何民族ですか?

私は関東地方で生まれ育ち、大学進学のために北海道に行き、その後も合わせて26年北海道に住んでいました。そこでアイヌの歴史や文化について知り、学校の教科書に書かれていたのはおもに日本の中央の歴史だということに気づかされました。自分が知っていたのは、ごくせまい世界だったとも思いました。

アイヌ文化は、寒いながらも豊かな自然のなかでくらす知恵や工夫にあふれています。そして、周辺の文化と似たところも違うところもあります。この改訂版では、伝統的な衣類に加えて、食や儀礼に関するものなどを増やしました。また、作った人たちのメッセージも入れました。

アイヌ文化について知ってもらいたいのはもちろんですが、「アイヌ文化とのであい」が、自分が育ってきた文化って何だろう?文化の違いって何かな?などと考えるきっかけになれば、うれしいです。

齋藤玲子先生
みんぱっくに入っているモノたち
※色や形などが、写真とは異なるものが含まれる場合もあります。
 
 
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