民族学者のレヴィ＝ストロースは、未開社会特有の思考法にブリコラージュという言葉をあたえました。ブリコラージュはあり合わせの道具と材料を用いて、自分の手で何かを創り上げる仕事のことです。目的や概念に即して手段を講じる近代科学的なアプローチに対して、未開社会では、ありあわせの道具と材料を元に何かをなしとげようとします。カレーライスをつくろうとして材料を買いそろえるのではなく、冷蔵庫のなかのあり合わせの材料でつくるお惣菜のようなもの、といえばわかりやすいでしょうか。身の回りにあふれるなんでもない素材が、埋もれていた価値を花開かせてゆく。こうしてつくられる作品は、私たちの日常をゆさぶるはずです。ありふれてみえた世界はそれまでとちがった光彩をはなちはじめる。はじめて旅する異国にいるかのように、時間はあゆみをゆるめる。。。。そんな経験をもつことができたら幸福だとおもいます。