国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱっく 活用例「みんぱっくで学ぶ遊牧民の生活 ~遊牧するってどんなこと?~ 」

東京都立浅草高等学校
「みんぱっくで学ぶ遊牧民の生活 ~ 遊牧するってどんなこと? ~」
今回は、遊牧民の生活について学習する高等学校を見学してきました。
衣・食・住をテーマに、みんぱっくを使って遊牧民の生活を具体的に理解しようと試みている授業で、1回目の「衣」についての授業を見学。
モノが登場するたび驚きの声が上がり、様々な感想が聞こえてきました。
利用期間 2016年11月3日~16日
利用したパック モンゴル 草原のかおりをたのしむ
学年 定時制課程 単位制2~4年次生
自由選択 世界史クラス(45名)
利用科目 世界史A・世界史B
合計4コマの授業を2回に分けて学習
2回の授業のうち、1回目に衣、2回目に
食・住をテーマにして遊牧民の生活を具体的に理解する
ねらい モンゴルを題材に遊牧民の生活について
理解を深め、今後の世界史学習に活かす
授業の流れ
  モンゴルと遊牧民について
 
  モンゴルのイメージ
 
  モノにふれる
 
  衣装体験
1 モンゴルと遊牧民について

配布物はプリント1枚。まずは黒板に国旗と地図を貼り、モンゴルの位置と首都を確認しました。その後、遊牧民とその生活について丁寧に解説があり、今回の授業を通じて遊牧民について理解しようとテーマが示されました。

黒板に国旗と地図を貼る 遊牧民とは…のテーマ
 
2 モンゴルのイメージ

モンゴルのトランプを使い、同じスートで4名ずつのグループになり、モンゴルについて知っていること、思いつくことを出し合いました。グループで出た意見を発表し、それぞれの持つモンゴルのイメージを共有しました。「山が多そう」「テント生活?」「スーホの白い馬」などの意見が出ていました。

 
 
3 モノにふれる

次にグループにひとつずつみんぱっくのモノが配られました。第一印象は?何でできている?何に使うもの?どんな形?触ったらどんな感じ?見てどんなことに気がついた?など考えながら、モノをじっくり観察しました。その後、意見交換しながら、そのモノがモンゴルでどのように使われているのかを先生といっしょに確認しました。

 
4 衣装体験

実際に数人、衣装を試着体験しました。
 ・風が通らなさそう
 ・暖かい
 ・どうやって着るの?
 ・足が開きやすい!
などの意見が上がっていました。
馬に乗る生活や気候などモンゴルや遊牧民についても考えていました。

 
先生の感想

遊牧民の生活を具体的に理解させるために、衣・食・住の各テーマにそったモノを使用しました。モンゴルパックはモノがいっぱい入っていて慣れるのに時間がかかりそうなので、モノ情報カードをウェブで見て、授業で使用するモノ、それらをどう使うのかを事前に考えておきました。
「みんぱっく」に対する生徒たちの反応は、モノそのものに対する驚きが一番大きかったと思います。どんなものか、何に使うのか、初めて見るものに戸惑っていましたが、じっくり観察し、意見を交換し合い、モンゴルの遊牧民の生活を学びました。
日本で生活している生徒たちは、遊牧民の生活はあいまいなイメージすらないことが多いです。衣・食・住に関わるモノを体験することで、異文化に接し理解する回路が生徒たちの中に開かれていくのを感じました。また、中国東北部出身の生徒たちには、他の生徒より遊牧について知識があったり故郷での食生活に共通点があったりなどしたことで、話し合いが深まったり、友達を見直す場面も生まれました。
実物教材には生徒をひきつける力があります。とはいえ自分ですべてを用意することはできないので、このような教材が自分のひきだしにあるというのは心強く思います。

 
 

今回は初めての高等学校での活用例紹介となります。
授業が進むにつれ、生徒たちがどんどん活発になっていくのが私たちにも伝わってきました。
みんぱっくのテーマである「Meet 見て、ふれて、モノと出会う」「Image その地域について想像する」「Next そして次へ…学びの発展形」に沿って授業は進んでいきました。モノをじっくり観察し遊牧民の生活背景を想像する場面では、生まれた疑問について真剣に考える表情がとても印象に残っています。
その地域に住む人びとが実際に使う道具を手に取ることで、見えてくることがたくさんあります。みんぱっくを使うことで、文化にふれ、学びを深めていくきっかけとなれば嬉しいです。

 
 

「モンゴル」パックのページはこちら