国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱっく 活用例「世界に目を向けよう」

吹田市立千里第三小学校
「世界に目を向けよう」
●平成18年1月19日 5時限目~6時限目
●学年:6年生(3クラス)
●利用科目:総合学習
●学習のねらい:
世界には様々な自然、生活、文化があることを知らせる。
自分の興味のあるテーマ、地域について調べ学習を行わせ、理解を深めさせる。
 
授業の流れ
今回はヨルダンから留学中の方を講師として招きイスラム圏の文化や生活全般について紹介してもらうことになりました。
自己紹介
国の紹介
イスラム教の紹介
みんぱっくのモノを使ってイスラム圏の文化を紹介
アラビア語について
クイズ
質問・試食など

 
1 自己紹介
講師の紹介、日本に来てびっくりしたことなどを紹介 講師の紹介、日本に来てびっくりしたことなどを紹介
・食事の時、色々なものを使って食べることにびっくり!ヨルダンでは手で食べます。(伝統的)その他、スプーンを使います。
・自転車に乗るとき、晴れていても傘をさしていること。

2 国の紹介
王様、人口、教育システム、食事などについて。
ヨルダンと日本の違い・・・
ヨルダンは自然資源は少ない。若い人が資源。
ヨルダンは大家族。 7~9人が普通。
ヨルダンではスプーンか手で食事。
日本では箸、スプーン、フォーク、ナイフ、手などいろいろ使う。

3 イスラム教の紹介
・男女平等である。
・お酒、豚肉は食べてはダメ
・女性はヒジャーブをかぶるべき(体を隠す)
 父・兄・弟の前ではかぶらなくても良い
・生活の中でコーラン、スンナ(ムハンマドの説明と話)は大切なもの。

衣装の試着 4 みんぱっくのモノを使ってイスラム圏の文化を紹介
まず、男女の衣装を見せて、男女一人ずつ試着してもらいます。

希望者殺到です。男性用も日本の普段着と随分違い、驚きの声が挙がりました。女性用の衣装は更に、驚きの反応でした。頭から、足の先までほとんど隠してしまう、この衣装に日本の自分たちの普段着との大きな違いを感じたようです。
次にお祈りに関するモノを紹介します。講師が持ってきたコーランのテープがバックに流れます。
コーランはイスラム教徒にとって、とても大切なモノです。という前置きがあり、全員が見れるよう、先生が中身を開いて見せて回ります。先生の周りにこどもたちが集まります。

その他にも5回のお祈り時間にアラームの鳴る時計や暦、数珠などを紹介しました。
 

5 アラビア語について
講師が用意していたプリントで挨拶など簡単なアラビア語を練習しました。

6 クイズ
1 国旗の色は何色でしたか?
赤、黒、白、緑
2 ムスリムになるとき一番大事なことは?
体を清めること。宣言をすること。
3 アラビア語の問題
Q:“ありがとう”は?
  A:“シュクラン”

7 質問、試食
最後に、子どもたちから質問はないか、聞いてみたところ、たくさんの手が挙がりました。
・お祭りとかありますか?
あります。大きなお祭りは、2つあります。 ラマダン開け、メッカに行ったときなどです。
・ヨルダンでは日本は知られていますか?
最近は有名になってきました。
・5回のお祈りをしなかったとき、罰はありますか?
方向がわからないこともあるので、心の中で唱えたら大丈夫です。

授業の最後には講師が作って持ってきてくれた、ヨルダンのパンを全員が試食させてもらいました。
いろんな感想が飛び交っていました。「おいしい!」「なんか不思議な味~!」 
 
担当教員の感想
昨年度初めて「みんぱっく」を利用させて頂き、とても良かったので今年度もお願いしました。
子ども達は強い興味を示し、“実物の持つ力”を感じさせられました。今後世界の国々、地域について調べ学習につなげていくのに大変役立ったと思います。Teacher's Packの図書資料やモノの紹介カードも役に立ちました。今後も、学年やテーマによるが、利用したいと思う。

見学の感想
講師を招いてモノと組み合わせた授業は、国際理解の学習を効果的に行う一つの形です。
今回は「イスラム教とアラブ世界のくらし」パックの利用で、どの国の方が講師として招かれ、みんぱっくをどのような場面で使うのだろうと、とても興味がありました。
講師はヨルダンの方でしたが、パックの中身をその時初めて見たにもかかわらず、とても効果的に使い、子どもたちの心を掴んで楽しい授業となりました。
衣装の試着はどんな子供も大好きですが、今回もほとんど見たこともない地域の衣装だったので、みんな興味津々で、全員が試着したかったようです。
パワーポイントを使っての紹介や、試着や、全員が見れるようモノを持って先生が動き回ったり、アラビア語の発音を一緒に言ったり、パンの試食までさせてくれたり、子どもたちが楽しみながら学べるように工夫がたくさんされていて、2時間があっという間に終わりました。
モノが持つパワーや説得力と、実際にその地域に暮らしていた人の実体験に基づく話が組み合わさることで、倍以上のインパクトがあり、子どもたちの中にもしっかりと刻まれたことと思います。