国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱっく 活用例「インドネシアからこんにちは~」

茨木市立豊川青少年センター
子どもすこやか広場 わん・パーク「インドネシアからこんにちは~」
平成17年5月11日(水) 15:30~16:30  1.ジャワ島の文化
●見学日時:平成17年5月11日(水)15:30~16:30(17:20)
●見学者 :情報企画係 高市
●見学場所:茨木市立豊川青少年センター
●パックの種類及び「みんぱっく」の使用目的:
ジャワ文化をまとう
同センターの3回連続ワークショップのうちの1回目に衣装着用、展示資料として使用
●参加人数:
13人(ほとんどが小学1年生もしくは2年生といった低学年)
スタッフ4名
 
○センターのねらい:
 新学期も始まり、1年生もぼちぼち慣れてきたかな、と言う5月に 「わん・パーク」は異文化理解、つまり自分たちと違う文化を「へえ~」と思い、関心を持つことを目的とします。さらに「結構楽しいかも?!」と感じられるようになればVery good!
1回目は導入。『ふくろうの森』野村先生に来て頂きます。2回目は影人形「ワヤンクリット」の紹介。子供の興味があるようであれば3回目も引き続き行います。
最近あった地震・津波の話から、インドネシアの子供達がどういう状況にあるのかまで考えられたらよいのですが。。。
 
 
○1回目のわん・パークの状況:
「NPOふくろうの森クラブ」 野村絹代先生が講師で招かれ、「みんぱっく」はスタッフが衣装を着用したり、展示して気軽に触ってもらうようにしていました。
野村先生ご持参のインドネシアの衣装や、バリの楽器、おもちゃなどを使いインドネシアの紹介を行いました。
<<プログラム>>
地球サイズで考えよう
みんなちがってみんないい!
インドネシアのこと
1.ふく
2.ことば・うた
3.くだもの・たべもの
4.学校の子どもたち
インドネシアの楽器とゲームにチャレンジ

 今回のワークショップでは「みんぱっく」は展示メインと聞いていましたが、インドネシアに住んでいた経験を持つ野村先生が、小学校低学年の子ども達にどのようにインドネシアを紹介されるのかを知りたく、見学させてもらいました。
子ども達はやはり遊び、楽器、衣装に興味津々で先生の教えるとおり素直に異国の遊びに夢中になっていました。最後には野村先生がちょうどインドネシアに滞在中におこったスマトラ沖地震津波の時の、ニュースでは流れなかったような実際の現場の写真を子ども達に見せながら現地の子ども達の置かれている悲惨な現状を語り、自分たちに出来ることは何かと問いかけ、地球レベルで考えることの出来る人になって欲しいというくくりで終了しました。(←1年生の子ども達にもわかるような言い回しで)
 
○見学の感想:
プログラムの最後の部分しか見学することができませんでしたが、子供達のいきいきとしたまなざしが印象的でした。初めて見るインドネシアのおもちゃや楽器、「みんぱっく」の中のものたちを興味深げに触ったり鳴らしてみたりして、疑問はすぐに先生に質問していました。 女の子は衣装に興味津々で何人も試着していた。男の子達はインドネシアのゲームに夢中でした。野村先生は幼稚園の園長だったこともあり、話の進め方がとても上手く、子供も大人もインドネシアに引き込まれました。
また、インドネシアに日本人学校の先生として勤務されていた経験もあるので、体験に基づいた現在のインドネシアの子供達の実情も交えつつ、文化の紹介等をされたので子供達にとってもインドネシアの同じくらいの年齢の子供達の生活が身近に感じられたようです。

「みんぱっく」という現地の“モノ”を通してその地域の文化や生活を伝えることは、話やスライドだけでの授業よりはある程度伝わると思いますが、それでも限界があります。その点、現地をよく知る講師を招いてモノを使ってその地域の現状を正確に伝えることは、モノだけを見て触る以上に子供達に多くのメッセージが伝わりやすいと考えられます。 今回、先生のモノを使ったお話に子供達がどれほど現地のことを想像出来たかは量れませんが、私自身が引き込まれたところがあり、講師の重要さを感じました。
「みんぱっく」の今後の貸出方法についても考えさせられるいい機会となりました。

【みんぱっく感想】
(豊川青少年センター 担当者)
世界中の貴重なグッズを、いつも惜しげ無く貸していただけて、ありがたいです。
博物館に陳列してあるモノだと、子どもたちも「ちょっと自分たちから遠いモノ」と感じてしまうようですが、それがスーツケースに入って自分たちの近くにまで来てくれるととても身近に感じられ、そこが大きな魅力です。
今回の「ジャワ文化をまとう」も、最初は「えっ何これ!?日本のと違う!!」だった子どもたちがどんどんひきこまれ、衣装を試着させてもらう段では我先にと並んでいました。
みんな「インドネシア」と良い出会いをさせていただいたと思います。
日頃、子どもたちに「世界には色んな人がいて、文化があって、みんな違ってみんないいんだ!」ということを伝えたいと思っており、「みんぱっく」はそれを伝える本当によい手段であると思います。
ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

(「ジャワ文化をまとう」担当教員 福岡正太
 「ジャワ文化をまとう」のパックは、ジャワの衣装を実際に身につけて、ジャワの文化の一端にふれてみることを主な目的にしています。けれども見学記にあるように、どうやって導入するかということが、子どもたちの興味を引き出す上で大切です。今回は、講師の野村先生がインドネシアの文化をよくご存じの上、子どもたちをひきつけてお話されるのがとても上手な方で、本来のみんぱっく以上の魅力を引き出していただいたようです。私も、今回利用していただき大変うれしく思っています。
 実は、当初このパックには、楽器や人形なども入れる予定でした。けれども、一つのパックが大きくなり過ぎるので、楽器や人形は、将来別のパックを作ることにしてこのパックからは省きました。現在、できるだけコンパクトにこのパックを完成できるように工夫中です。ぜひご期待ください。