国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

巻頭コラム

世界大風呂敷展開幕記念号  2002年10月3日刊行
 
風呂敷、ふろしき、フロシキ、、、と。今、民博は風呂敷だらけでたいへんなことになってるんです。特展会場に入る前に上を見上げてください。きっとこれまで世界のどこにもなかった風景が見えるはずですから。
この秋からはじまる特展「世界大風呂敷展」。包むことの再発見ばかりでなく、まったく新しい風呂敷の使い方を、民博から提案します!!!

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10月3日(木)より、特別展「世界大風呂敷展―布で包む ものと心」開幕

世界の風呂敷大集合。25ヶ国から400枚の風呂敷が集まりました。

開催期間:2002年10月3日(木)~2003年1月14日(火)

http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200210/index

★展示場紹介ページ
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200210/exhibition

☆風呂敷の包み方
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200210/wrap

★関連催し物
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200210/event

◆館長あいさつ(石毛直道)
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200210/dg
風呂敷といえば、日本独自のもののように思われがちですが、けっしてそうではありません。世界中の、布の文化をもつ民族には、多かれ少なかれ、風呂敷のような機能をもつ布があります。その使いかたも共通性が多く、たとえば頭上に風呂敷包みをのせて運ぶ風景は、世界各地にみられます。頭上運搬は、今でこそ日本であまりみかけなくなりましたが、平安時代以来、庶民の風俗として、絵巻物をはじめ、いろいろな絵画のなかに描かれています。もはや、風呂敷は日本文化である、という「常識」はあらためなければなりません。

今回の展示には、「布で包む ものと心」という副題がついています。風呂敷の役割は、まとめにくいものを包んで運ぶ、という運搬の便利さにあるのは、もちろんです。しかしそれにとどまりません。風呂敷や袱紗で包みますと、「ていねい」という心も相手に伝わります。つまり包むことによって、新たな意味付けが加わるのです。これが「布で包む ものと心」です。
〈・・・続きはこちら ↓ ・・・〉
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200210/dg

◆展示の趣旨(熊倉功夫)
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200210/concept
世界の風呂敷、といえば「え、世界に風呂敷があるの?」という素朴な疑問が浮かぶだろう。答えはイエスであり、かつノーである。世界各地に「風呂敷のような使い方をする布」はある。その意味でイエス。しかし、日本の風呂敷のように、ものを包むためだけにつくられた正方形の布は、どこにもあるというわけではない。その意味でノーである。

世界の、布で包む文化をみると、いかに人類が布を多様につかってきたかが、うかがえよう。運搬のためにまとまりにくいものを布に包む、というのがもっとも一般的な風呂敷の使い方であるが、風呂敷がなくとも、手近な布が自由にもちいられる。たとえば肩掛けであったりスカーフであったり、はたまた腰布や衣服の一部であったりする。むしろ多様なはたらきをもつ布が生活のなかにあって、そのはたらきのひとつがものを包む、ということなのである。いいかえれば、多様なはたらきのなかに、包むという使い方がある布は、ひろい意味での「風呂敷」とかんがえることにしよう。
〈・・・続きはこちら ↓ ・・・〉
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200210/concept

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●風呂敷をつかう体験コーナー
風呂敷という一枚の布は、包むものの形に即して自由にその姿をかえます。スイカやビール瓶を包んだり、ちょっとしたバッグにもなるような多種多様な風呂敷の包み方の実習をおこないます。覚えておけばたいへん便利で楽しい風呂敷の包み方をご紹介します。風呂敷についての知識やマナーもお話しします。
 会 場:国立民族学博物館 特別展示場2F
 時 間:10時~16時30分
 参加無料(ただし、特別展の観覧料が必要です)
 当日会場にてお申し込みください。

●風呂敷をつくる体験コーナー
織物の専門家の指導のもと、織機をつかって小さな風呂敷を自分で織る体験コーナーです。30分ぐらいで30センチメートル四方の風呂敷に仕立てることができます。
 会 場:国立民族学博物館 特別展示場2F
 時 間:10時~16時30分
 実費1,000円が必要(その他、特別展の観覧料も必要です)
 当日会場にてお申し込みください。

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☆ 編集後記
スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋... そしてみんぱくの秋!いよいよ「大風呂敷展」の開幕です。
「そういえば、たんすの奥に風呂敷が眠ったままになっているなあ」という方も多いのでは?
久しぶりに風呂敷でお弁当を包み、万博記念公園へピクニックというのはいかがですか。

福岡正太(編集長)