国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくのオタカラ

今月の見てみんサイト  2002年11月15日刊行
山中由里子

● 北ギリシアに巨大なアレクサンドロス大王像、出現?

<http://www.alexanderthegreatmountain.com/>

今年の夏、世界中の考古学会に物議をかもしたニュースがある。それは、北ギリシアのエーゲ海沿岸のとある山の斜面に、アレクサンドロス大王の巨大な頭像を彫刻するというプロジェクトが発表されたのである。

このとてつもない計画を発案したのは、シカゴ在住のギリシア系アメリカ人芸術家Tassos Papadopoulos。彼は、アレクサンドロスの生誕の地に、大王をかたどった巨大な記念碑を建てたいという夢を実現させるため、「アレクサンドロス財団」を発足させ、シカゴのギリシア人コミュニティーを中心に資金を集め(すでに200万ドル以上!)、技術者を募った(スー族酋長クレジー・ホースの巨大記念碑を手がけた彫刻家など)。そして、アレクサンドロスの生誕地ペラから120キロほど東にあるアギオス・ゲオルギオス自治区のアスプロヴァルタとヴラスナの村々の市長たちから許可を得て、エーゲ海を見下ろし、またアトス山を遥か望み見る大理石の崖を、絶好の記念公園候補地として確保した。公園内には、博物館、ギリシア風円形劇場、駐車場も建設される予定。完成には10年はかかるといわれているが、2004年のアテネ・オリンピックまでには、顔の輪郭が出来上がる予定らしい。

■アメリカ側の詳しい経緯を記した英語記事:
<http://www.insideonline.com/site/epage/5817_162.htm?>

しかし、自然保護団体からは環境への悪影響を訴えられ、考古学者、美術史家からは古代ギリシアの理想美に相反する極悪趣味とけなされ、これを一大観光テーマパークにしようとねらう地元の市長は誇大妄想家だとさんざんにたたかれた。

■ギリシア側の反応に関する英語記事:
<http://www.ekathimerini.com/4dcgi/_w_articles_politics_100024_21/08/2002_19980>

海抜約1500フィート(457メートル)の崖の斜面に彫られる顔は、高さ80メートル、幅57メートル、つまり世界一大きい頭像になるというから、米国ダコタ州ラシュモア山に彫られた大統領たちも「顔負け」である。

Yuriko.Y