巻頭コラム
- World Watching from Taipei 2003年9月18日刊行
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野林厚志
● 遠離 SARS!!
7月5日にWHOがSARS感染地域の解除を行なった台湾に訪れた。空港の入国の際に、サーモメーターによる体温観察を受けたり、普段なら書くことのない健康状態アンケートにペンを走らせ、あらためて、SARSが猛威をふるったのだなと感じた。
2年ぶりの台湾行、久しぶりに故宮博物院にと出かけたところ、客の入りはいつもの半分以下である。どうやら、お得意様だった日本人観光客の足がばったりと途絶えたことが原因らしい。「遠離SARS」と銘打ち、入場料を2人連れの場合は一方が無料になるとか、ミュージアムショップでは割引やおまけをつけるなど、色々と策をこうじているようだが、台湾を訪れる人自体が少なくなってしまったのだから、手のほどこしようがない。観光も国の経済の重要な柱の一つである台湾にとって、しばらくは苦しい時期になりそうである。
一度失ったお客さんの信用を取り戻すのは簡単なことではなさそうだ。
野林厚志(民族学研究開発センター)
◆参考サイト
國立故宮博物院
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