みんぱくのオタカラ
- 嫁入り駕籠 2006年3月17日刊行
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日高真吾
大阪府河内長野市で使用されていた駕籠です。駕籠は江戸時代に広く普及した乗り物で、日本の歴史のなかで初めて庶民階層の人々が乗用できる権利を得た乗り物です。その時期は徳川幕府の将軍のなかでも有名な8代将軍徳川吉宗の時代である享保年間になります。
みんぱくに所蔵されているこの2挺の駕籠は、婚礼で使用された「嫁入り駕籠」として用いられていました。とてもよく似た形状ですが、決定的に違う点は扉の形状です。1挺は「引戸」、もう1挺は「垂れ」になっています。江戸時代の風俗をよく著した『守貞謾稿』には15種類の駕籠が紹介されています。そのなかに、関西地方の独特の駕籠として、「京四つ駕籠」という駕籠が紹介されています。そして、「京四つ駕籠」の特徴として、扉の形状に「引戸」と「垂れ」の2種類があると記されており、まさにこれらの駕籠がその特徴をよく示しているのです。
現在、特別展「みんぱくキッズワールド:こどもとおとなをつなぐもの」を開催しています。そのなかの「日高研究室コーナー」にこれらの駕籠を展示していますので、一度ご観覧ください。
日高真吾(文化資源研究センター)
◆今月の「オタカラ」
標本番号:H0128546、H0128548 / 標本名:嫁入り駕籠◆関連ページ
特別展「みんぱくキッズワールド:こどもとおとなをつなぐもの」(2006年3月16日~5月30日)
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