みんぱくのオタカラ
- パプアニューギニアの精霊の仮面 2007年11月7日刊行
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豊田由貴夫
パプアニューギニアのセピック川流域では、クルーズ船に乗っていくつかの村を訪ねる観光がある。その観光の一つのアトラクションとして、観光客の顔にこの地域の仮面の模様を描く、というものがある。この模様として特に使われるのが、イアトムル民族の人たちがマイ(あるいはムワイ)と呼ぶ精霊の仮面に描く模様である。目の周りを中心にしてペイズリーのような独特のような模様が何重にも広がり、この地域の仮面のおどろおどろしさの典型的な模様として知られている。模様はそれを描く人によって微妙に違うのだが、観光のアトラクションでは、現地の住民の中でも評判の高い人にこの模様を顔に描いてもらっている。このデザインは、本来は精霊の顔を描いたものであり、顔にこの模様を描かれた観光客は、精霊となった自分の顔を鏡で見たり、同行者に見せたり、写真を撮ったりして楽しむのである。この模様はイアトムルや隣のサウォス民族の人々など、セピック川の中流域の人々によって共有されている。
豊田由貴夫(立教大学観光学部教授)
◆今月の「オタカラ」
標本番号:H164861 / 標本名:パプアニューギニアの精霊の仮面
※開館30周年記念特別展「オセアニア大航海展―ヴァカ モアナ、海の人類大移動」にて同種のものが展示◆関連ページ
開館30周年記念特別展「オセアニア大航海展―ヴァカ モアナ、海の人類大移動」
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