国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

巻頭コラム

みんぱく創設40周年にあたって  2014年6月20日刊行
須藤健一

みんぱくは6月7日に満40歳になりました。
「天の時」、「地の利」、「人の和」に恵まれてできたと、初代館長梅棹忠夫はいいます。本館の誕生は、日本民族学会の渋沢敬三らが「日本民族博物館」設立を国に建議した1935年にさかのぼります。それから40年、日本民族学会など多くの関係者の尽力によって1974年に「天の時」が来たのです。その建設地は大阪万博跡地という「地の利」と、全国の大学から研究者60名が集い、研究と博物館活動を行う「人の和」が生かされたのです。

この40年間、本館は文化人類学の研究所、大学共同利用機関、博物館、大学院教育、社会貢献など、多くの役をこなしてきました。現在、機関・共同研究や国際シンポジウムなどを行い、国内外から1200名の研究者に活用してもらっています。また、34万点の民族資料、7万点の映像・音響資料、65万点の文献図書資料を所蔵しています。戦後、これほどの規模の文化資源を収集した博物館は世界でも本館だけです。40周年を機に新しい企画を進めています。

  1. 人類社会が直面する、文化・言語の消滅の危機、環境破壊や災害、民族や国家間の紛争、経済や情報の格差、少子高齢化などを生みだした現代文明を問い直し、それらの問題の解決に向けて国際的・学際的な大型研究を組織します。
  2. 本館所蔵の膨大な文化資源は、それを提供した人びとと人類の共有財産です。世界の人びとがどこからでもネットで利用できるフォーラム型情報ミュージアムを構築します。
  3. 東京・国立新美術館での40周年記念事業展示「イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる」は大好評でした。9月からは本館で開催します。大阪でも大阪府高齢者大学校での授業や、あべのハルカスでの映像と食文化の連続講演会などを行っています。これからも、巡回展や講演会などを全国規模で展開していきます。

昨年9月、1000万人目の入館者を迎えました。みんぱくを皆さまの身近な存在にしてゆきますので、今後ともご協力とご支援をお願いします。

須藤健一(館長)