国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

巻頭コラム

「博物館とコミュニティ開発」研修コースについて  2017年12月1日刊行
新免光比呂

国立民族学博物館では、2017年9月28日から12月15日まで独立行政法人国際協力機構(JICA)から委託を受け、滋賀県立琵琶湖博物館と共同で、世界各地の博物館専門家を対象とした課題別研修「博物館とコミュニティ開発」を実施しています。参加者は、アルメニア、エジプト、パプアニューギニア、サモア、セーシェル、バヌアツ、ザンビア、トルコ、ヨルダンの9ヵ国・地域からの10名です。この研修は、開発途上国における諸博物館の技術向上と、 博物館間の国際的ネットワーク構築に貢献するために、国際協力事業団(JICA)が主宰し、国立民族学博物館(民博)が中心となって1994年から10年間実施した「博物館技術コース」が出発点となっています。

2004年度からは、国際協力機構に衣替えしたJICAと大学共同利用機関法人・人間文化研究機構の1機関となった民博によって「博物館学集中コース」として再出発しました。JICAから民博が全面的な事業委託を受け、滋賀県立琵琶湖博物館との共同で運営することになったのです。それは研修員自らのコミュニティの資料を収集・整理し、展示するという課題について、この分野で先進的な業績をあげている滋賀県立琵琶湖博物館と密接に連携することで、より充実した博物館技術の研修を目指すものでした。

2012年度からは、東日本大震災後の状況を踏まえ、博物館資料の管理について保安や防災のカリキュラムが強化されました。また博物館の運営についても自らが立案し、実践・普及できるよう研修を拡大し、さらに観光関連分野との連携をはかりました。

そして2015年度からは、「博物館とコミュニティ開発」とコースを改組・発展させ、博物館が地域社会に果たす役割について、深く学ぶことができる研修内容となりました。

コースの名前と運営形態は発展的に更新されていますが、博物館を通じた国際交流の促進というコースの目的は一貫して継続しています。20年をこえる研修によって多くの成果が得られています。

新免光比呂(国立民族学博物准教授)

 

 

◆関連ウェブサイト
博物館とコミュニティ開発