巻頭コラム
- 共催展「国立民族学博物館コレクション 世界のかわいい衣装」 2019年11月1日刊行
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わたしたちは装いをどのようにうみだし、身にまとってきたのでしょうか。世界各地の衣装をとりあげた共催展『国立民族学博物館コレクション 世界のかわいい衣装』が、阪急うめだギャラリーで11月13日より開催されます。この展示では、みんぱくが所蔵するコレクションのなかから、「かわいい」をキーワードに選んだ、1920年代から現在までの衣装約120点を紹介します。
衣装は、地方の気候や風土のなかで育まれてきたもので、織りや染め、刺繍、レースなどの多岐にわたる手仕事には、その社会や文化が深く投影されています。衣装の魅力は、地域独特の文様や色彩、形や着方の多様さにあるといってもいいでしょう。私たちの生活を彩ってきた衣装は、その土地に生きる人びとの知恵や創意工夫、技術によって伝えられ、現在まで受け継がれています。
本展では、世界各地から収集されたさまざまな衣装を通して、それらの手仕事や装いの文化がいかに多様で多彩なものかを示し、同時にその変化と連続性を紹介します。装いとは、わたしたちの最も身近にあり、人間にとって普遍的な行為です。同時に、さまざまな環境、文化的背景、社会との関わり、そして人間の創造力が組み合わさって多様に展開するものでもあります。これらを身につける人びとの世界に思いを馳せることは、わたしたちの装いについてもあらためて問い直す機会となるでしょう。
はじめての「みんぱく×阪急」のコラボレーション展へ、ぜひ足をお運びください。上羽陽子(国立民族学博物館准教授)
◆関連写真
上着(スロバキア)スロバキアの男性用上着。厚地の羊毛地に、極太の刺繍糸で花文様が刺繍してあります。赤いフェルトによるパイピングと半円形のフェルトの装飾が、一層鮮やかな印象を与えています。
手袋(アメリカ)アメリカ中西部に居住するクロウの皮手袋。クロウの人びとは乗馬を得意とし、皮なめしの技術にも長けていました。そのため上衣、靴など衣服の大部分がシカなどの革を利用して製作されます。複数のガラスビーズをまとめて縫い留めるレイジーステッチと呼ばれる刺繍技法をもちいています。
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共催展「国立民族学博物館コレクション 世界のかわいい衣装」
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