みんぱく映画会
-
2013年6月16日(日)
文化の記録と映像表現 ―川瀬慈作品特集― -
チラシダウンロード[PDF:2.19MB]文化人類学・民族学は、文字の記録によって世界中の文化に関する民族誌を刊行してきた。その一方で、映像を用いた文化の記録と研究もすすめられ、さまざまな映像表現の方法論が試されてきた。特に近年、映像による民族誌である"民族誌映画"を中心とした国際的な研究交流の輪がひろがり、そこからは、文化人類学の新たな理論的潮流がうみだされている。
本企画では、アフリカにおける研究を軸に、民族誌映画制作の方法論開拓にとりくんでいる川瀬慈によるエチオピア音楽や宗教、こどもたちを対象とした3作品を鑑賞し、制作者自身による解説を聞くことによって、民族誌映画の魅力や可能性を示す。- 日 時:2013年6月16日(日)13:30~16:00(開場13:00)
- 場 所:国立民族学博物館 講堂
-
定 員:450名
- 入場整理券を10:00から講堂入口にて配布いたします。
- 事前申込は不要です。
- 参加料:無料
- 司会・解説:川瀬慈(国立民族学博物館助教)
- 主 催:国立民族学博物館
● 文化の記録と映像表現―川瀬慈作品特集―
- ラリベロッチ―終わりなき祝福を生きる―
- 30分/2007年(再編集版)
- 【撮影】川瀬慈・ジャマル・モハメッド
- 【編集・録音】川瀬慈
- 【使用言語】アムハラ語(日本語字幕)
- 【撮影場所】ゴンダール エチオピア連邦民主共和国
- ◆国際学術映画祭入選
- 第10 回ベルリン民族映画祭 、ベルリン民族学博物館 2007 年11 月
- Days of Ethnographic Cinema 国立ロシア文化研究所 2009 年10 月
- エチオピア高原北部を広範に移動するラリベロッチと呼ばれる吟遊詩人は、早朝に家の軒先で唄い、乞い、金や食物を受け取ると、その見返りとして人々に祝詞を与え、次の家へと去っていく。ラリベロッチは、唄うことを止めるとコマタ(アムハラ語でハンセン氏病の意)を患うという差別的な言説のもと、謎に満ちた集団として人々のあいだで語られてきた。本作は、ラリベロッチ老夫婦の路上での活動と聴衆とのやりとりを詳細に記録。
- Room 11, Ethiopia Hotel
- 23分/2006年
- 【撮影・編集・録音】川瀬慈
- 【使用言語】アムハラ語(日本語字幕)
- 【撮影場所】ゴンダール エチオピア連邦民主共和国
- ◆受賞
- 『最も革新的な映画賞 Premio per il film più innovative』
- サルデーニャ国際民族誌映画祭(イタリア)2008年10月
- その他 国際学術映画祭多数入選
- ゴンダール中心に位置するエチオピアホテル11号室の窓から下を見下ろすと、靴磨き、豆売り、荷物運び、洗車係等、ストリートは働く子供たちであふれている。本作は、ゴンダールの路上で人々が繰り広げる細々としたドラマと、路上で生活を行う2人の少年シファロとヨハネス、そして撮影者である私自身によるホテルの部屋でのやりとりから生起する物語に焦点をあてた。本作では、撮影者と被写体による"コミュニケーション、コラボレーションの証"としての映画的話法を提示した。
- 精霊の馬
- 28分/2012年
- 【撮影・編集・録音】川瀬慈
- 【使用言語】アムハラ語(日本語字幕)
- 【撮影場所】ゴンダール エチオピア連邦民主共和国
- ◆国際学術映画祭入選
- 第9回スラヴォニア国際民族映画祭 (クロアチア)2012年6月
- 第32回北欧人類学映画協会主催映画祭(ノルウェー) 2012年8月
- 第6回モスクワ国際映像人類学祭 2012年10月
- 第10回Worldfilm Festival of Visual Culture (エストニア)2013年3月
- 精霊の馬(アウォリヤ・ファラス)とは、エチオピアのザール憑依儀礼の霊媒を意味する。 エチオピア北部の都市ゴンダールは、古くからザール憑依儀礼が盛んであり、ミシェル・レリスの著書『幻のアフリカ』における記録がよく知られる。本作では、ザール霊媒マレム・ムハメッド氏と精霊セイフ・チャンガルの交流、交感を軸に、当儀礼に人々がもとめる世界を描く。
川瀬慈(かわせいつし) Itsushi kawase
映像人類学研究者。国立民族学博物館助教。1977年岐阜県生まれ。 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了後、 マンチェスター大学グラナダ映像人類学センター研究員、 SoundImageCulture(ベルギー)客員講師などを歴任。 エチオピアの音楽・芸能をはじめアフリカの無形文化に関する人類学研究、 および民族誌映画制作に取り組む。
作品参考URL:http://www.itsushikawase.com/japanese/■お問い合せ先
国立民族学博物館 広報企画室企画連携係
〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1
Tel: 06-6878-8210(土日祝を除く9:00~17:00)