みんぱく映画会
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2013年7月13日(土)
さあ帰ろう、ペダルをこいで -
チラシダウンロード[PDF:1.56MB]国立民族学博物館では、2009年秋から開始した機関研究<包摂と自律の人間学>のテーマにあわせて、研究者による解説付きの上映会「みんぱくワールドシネマ」を実施しています。第5期は<家族のゆくえ>をキーワードに映画上映を展開していきます。今回は、ブルガリアほか合作「さあ帰ろう、ペダルをこいで」を上映します。共産党政権下から民主化へ、時代の波に翻弄され、引き裂かれたブルガリア人の祖父と孫の再会を通して、家族の在り方とその未来を皆さんとともに考えていきたいと思います。
- 日 時:2013年7月13日(土)13:30~16:30(開場13:00)
- 場 所:国立民族学博物館 講堂
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定 員:450名
- 入場整理券を10:00から講堂入口にて配布いたします。
- 事前申込は不要です。
- 参加料:無料(ただし、本館展示をご覧になる方は観覧料が必要です。)
- 主 催:国立民族学博物館
● みんぱくワールドシネマ 映像に描かれる<包摂と自律> ―家族のゆくえ― 第21回上映会
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さあ帰ろう、ペダルをこいで
THE WORLD IS BIG AND SALVATION LURKS AROUND THE CORNER -
2008年/ブルガリア=ドイツ=ハンガリー=スロベニア=セルビア合作
/ブルガリア語=ハンガリー語=スロベニア語=ドイツ語/105分/日本語字幕付き - 【開催日】2013年7月13日(土)13:30~16:30(開場13:00)
- 【監督】ステファン・コマンダレフ
- 【出演】ミキ・マノイロヴィッチ カルロ・リューベック
- 【司会】川瀬慈(国立民族学博物館助教)
- 【解説】ヨトヴァ・マリア(国立民族学博物館外来研究員)
「映画解説」
80年代の共産党政権下のブルガリアで、波打つ運命に引き裂かれたある家族の軌跡を、過去と現在を巧みに交錯させて描き、国内外で高い評価を受けた逸品。 亡命先のドイツで事故に遭い、父母の生命とともに、それ以前の記憶も失くした青年の前に、7歳まで過ごしたブルガリアから駆けつけた祖父が現れる。 四半世紀ぶりの再会にとまどうも、祖国目指してタンデム旅行を続けるうちに、両親や祖父母の愛に包まれた幼年期や、イタリアの難民キャンプで芽生えた淡い恋の想い出などが、断片的に甦る。 バルカン諸国で盛んな、シンプルだが奥の深いゲーム"バックギャモン"が、離れかけていた祖父と孫との心をつなぎ、ひとりひとりの手に委ねられた人生の厳しさや素晴らしさの象徴として、映画的な高揚感を生む。 時代が移り変わっても、自らの信念を貫き通す祖父ゆえの、至言の数々を噛みしめたくなる、滋味豊かなロードムービーである。(映画評論家 服部香穂里)
自分探しの旅
日本では、「ブルガリアといえばヨーグルト」というイメージが強いが、この映画はヨーグルトについて一切触れていない。世界中でこの連想をするのは日本人だけかもしれない。西欧からブルガリアは「ソ連の衛星国」ないし「欧州の周縁国」とみなされ、今もなお東欧の問題児として扱われている。なぜなら、民主化以降の失業や貧困、移民などの問題は西欧社会の秩序を脅しかねないと捉えられているからである。他方、無限に広がる可能性を夢見て、米国、ギリシア、スペイン、英国などの欧米へと移住するブルガリア人が今もなお後を絶たない。自国と移民先のはざまで暮らすブルガリア人は「私は何者か」、「ルーツはどこか」、「故郷に戻るべきか」と自問自答することが多いと思う。私自身、国内居住する者として、主人公の自己喪失を痛感しており、この映画は自分探しの旅でもある。「ヨーグルト大国のブルガリア」から一歩踏み出し、日本の皆さんとともにこの旅を共有したいと思う。(ヨトヴァ・マリア)
「包摂と自律の人間学―世界の映画から知る、家族のゆくえ―」国立民族学博物館 小長谷有紀
教科書やさまざまなパンフレットにえがかれている家族といえば、たいてい両親と男女2人の子どもたち。けれど、実際に統計をみるかぎり、そんな家族はもう平均的なすがたであるとはいえません。シングルの選択、国際的な結婚や養子縁組、日本ではまだ法的に認められていない同性婚、老後のシングルライフ、海外移住など。家族のすがたは変わりつつあります。血縁だけが家族の条件ではなくなる一方で、医療技術の進歩にともなって遺伝子的な近さが新たな意味を持つ時代です。映画にえがかれた家族のすがたから、現代世界を知りながら、今後のゆくえをさぐってみましょう。わたしたちは、いつでも誰かを助けることができると同時に、つねに多くの人びとに助けてもらっている生き物です。だから、自分とは意見のちがう他者を包み込みながら自分らしさをたもっていくことは、豊かに生きるための、1人ひとりの課題です。
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