みんぱく映画会
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2013年11月10日(日)
人生、ブラボー! -
チラシダウンロード[PDF:1.42MB]国立民族学博物館では、2009年秋から開始した機関研究<包摂と自律の人間学>のテーマにあわせて、研究者による解説付きの上映会「みんぱくワールドシネマ」を実施しています。第5期は<家族のゆくえ>をキーワードに映画上映を展開していきます。今回は、カナダのフランス語映画「人生、ブラボー!」を上映します。 過去に行った精子提供によって、遺伝子上533人の子どもがいることが発覚したうだつのあがらない男の成長の物語を通して、新しい形の家族の在り方について皆さんとともに考えていきたいと思います。
- 日 時:2013年11月10日(日)13:30~16:30(開場13:00)
- 場 所:国立民族学博物館 講堂
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定 員:450名
- 入場整理券を10:00から講堂入口にて配布いたします。
- 事前申込は不要です。
- 参加料:無料(ただし、本館展示をご覧になる方は観覧料が必要です。)
- 主 催:国立民族学博物館
● みんぱくワールドシネマ 映像に描かれる<包摂と自律> ―家族のゆくえ― 第23回上映会
- 人生、ブラボー! Starbuck
- 2011年/カナダ映画/フランス語/110分/日本語字幕付き
- 【開催日】2013年11月10日(日)13:30~16:30(開場13:00)
- 【監督】ケン・スコット
- 【出演】パトリック・ユアール ジュリー・ル・ブルトン アントワーヌ・ベルトラン
- 【司会】小長谷有紀(国立民族学博物館教授)
- 【解説】松岡悦子(奈良女子大学生活環境学部教授)
「映画解説」
ある日突然、533人もの子どもの父親である現実を突きつけられる男の葛藤や成長を鮮やかに描き、カナダ本国ならびに世界中で好評を博したフランス語映画。恋人から妊娠を告白された上に、かつて行った精子提供で誕生した子どもで結成された原告団に、父親の身元開示を求める訴訟を起こされる借金まみれの男が、素性を伏せて原告との面会を続けるうちに、名乗りをあげるか思い悩み、人生を見つめ直していく。父親が何者かすら知ることもできず、サッカー選手、ストリートミュージシャン、重度の障害と闘う青年など、異なる境遇を懸命に生きる子どもたちに、人は好いが身勝手に暮らしてきた独身男が感化されていく様が、ユーモラスかつ繊細なタッチで綴られる。奇想天外な物語に、親や家族になることの難しさや喜びがチャーミングに散りばめられた、誰もが誰かの子どもで、多くの人とつながっていることに、改めて感謝したくなる佳篇だ。 (映画評論家 服部香穂里)
家族の未来にブラボー!
ドナーによる人工授精(AID)は、もともとは戦争で生殖機能を失った男性の救済策として始まり、日本では1948年から実施されている。精子の提供者が誰であるかは秘密にされ、子どもは夫婦の子どもとして育てられてきた。 ところがAIDで生まれたことを知った子どもたちは、自分の出自を知りたい、ドナーがどんな人なのか知りたいという思いを強くもつようになり、ネットやさまざまな手段を使って父親探しを始めた。 そこで子どもたちは大きな困難に出くわす。 ドナーの開示を拒否されたり、そもそもドナーの記録自体が不十分だったりした。 またこの映画にあるように、ドナーが知らないうちにたくさんの子どもの父親になっていたという話はあり得ないことではなく、一人のドナーの精子で50回以上妊娠させていた例がある。
AIDは、もともとは夫の失われた生殖機能を補い、伝統的な家族の体裁を保つ目的で始まったものだったが、近年は多様な家族を作る目的でも使われるようになっている。レズビアンのカップルや、シングルの女性が子どもを持とうと思ったとき、ドナーの精子がその夢をかなえてくれる。果たして、この映画の子どもたちはどのような理由でこの世に誕生したのだろうか、そして父親とは誰のことなのか、家族のつながりとは何なのか。 映画は私たちにさまざまな思いを抱かせ、家族の未来に希望と勇気を与えてくれる。(松岡悦子)「包摂と自律の人間学―世界の映画から知る、家族のゆくえ―」国立民族学博物館 小長谷有紀
教科書やさまざまなパンフレットにえがかれている家族といえば、たいてい両親と男女2人の子どもたち。けれど、実際に統計をみるかぎり、そんな家族はもう平均的なすがたであるとはいえません。シングルの選択、国際的な結婚や養子縁組、日本ではまだ法的に認められていない同性婚、老後のシングルライフ、海外移住など。家族のすがたは変わりつつあります。血縁だけが家族の条件ではなくなる一方で、医療技術の進歩にともなって遺伝子的な近さが新たな意味をもつ時代です。映画にえがかれた家族のすがたから、現代世界を知りながら、今後のゆくえをさぐってみましょう。わたしたちは、いつでも誰かを助けることができると同時に、つねに多くの人びとに助けてもらっている生き物です。だから、自分とは意見のちがう他者を包み込みながら自分らしさをたもっていくことは、豊かに生きるための、1人ひとりの課題です。
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