みんぱく映画会
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2014年3月16日(日)
人生はビギナーズ -
チラシダウンロード[PDF:1.41MB]国立民族学博物館では、2009年秋から開始した機関研究<包摂と自律の人間学>のテーマにあわせて、研究者による解説付きの上映会「みんぱくワールドシネマ」を実施しています。第5期は<家族のゆくえ>をキーワードに映画上映を展開していきます。今回はアメリカ映画「人生はビギナーズ」です。75歳にして同性愛者だとカミングアウトし、余生短い人生を思うままに生きる父と、自分自身に自信が持てない息子との交流を描いた作品を通して、これまでの家族形態における同性愛者の存在と人間関係、これからの新しい家族の在り方を皆さんとともに考えていきたいと思います。
- 日 時:2014年3月16日(日)13:30~16:30(開場13:00)
- 場 所:国立民族学博物館 講堂
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定 員:450名
- 入場整理券を10:00から講堂入口にて配布いたします。
- 事前申込は不要です。
- 参加料:無料(ただし、本館展示をご覧になる方は観覧料が必要です。)
- 主 催:国立民族学博物館
2014年4月から、みんぱく映画会をご覧になるには、展示観覧券が必要となります。● みんぱくワールドシネマ 映像に描かれる<包摂と自律> ―家族のゆくえ― 第25回上映会
- 人生はビギナーズ Beginners
- 2010年/アメリカ映画/英語・フランス語/105分/日本語字幕付き
- 【開催日】2014年3月16日(日)13:30~16:30(開場13:00)
- 【監督】マイク・ミルズ
- 【出演】ユアン・マクレガー クリストファー・プラマー
- 【司会】宇田川妙子(国立民族学博物館准教授)
- 【解説】砂川秀樹(レインボーアライアンス沖縄・代表)
「映画解説」
伴侶を看取り、75歳にして同性愛者だとカミングアウトした亡き実父との関係をモチーフに、多才なマイク・ミルズ監督が、感性豊かに映像化した人間ドラマ。ガンで旅立つまでの晩年を、自分らしく情熱的に生きた父との濃密な日々や、ありのままの夫への理解の陰に淋しさを秘めた母との、一風変わった少年期の記憶をたどりつつ、恋愛や人付き合いに消極的な一人息子が自身と対峙していく。彼と同じく孤独を好み、慎重に愛を育み合う女優の卵や、父の死後、頼れる相棒として大奮闘するテリア犬の支えを得て、喪失の袋小路を抜け、変化へと少しずつ踏み出す様が、独創的なトーンで綴られる。長いキャリアの中でも類を見ないユニークな役柄で、アカデミー賞をはじめ各賞を総なめにしたクリストファー・プラマーたちが、ナチュラルに快演する"ビギナーズ"が、身近で親密な存在のかけがえのなさを魅力的に体現し、明日への勇気をくれる名篇だ。 (映画評論家 服部香穂里)
同性愛者と異性愛者の交叉
ライフヒストリーという研究方法がある。個人史を聞き取り、その中に現れる時代や社会のあり方、その変化を読み解くものだ。この映画は、その手法を思い起こさせる。主人公の父親の結婚は1955年。米国でマッカーシズムと言われる、共産主義者や同性愛者が公職から追放された時代がようやく終わりを告げた頃である。「ゲイであることを隠して結婚」することは、その時代にごく当然の生き方であった。そして、父親が息子にカミングアウトした1990年代終盤は、米国で同性カップルの法的保護を求める運動が大きく広がった時代である。その後、2000年代に同性婚を認める州が増えていく。父親はその時代を享受したかのようだ。こうしてこれまで異性カップルだけに与えられてきた結婚という「特権」を同性カップルも獲得する一方で、異性愛者も、性別役割や恋愛や結婚が変化する中で新たな関係性を模索している。それは時に不安定な様相を呈し、同性愛者(特にゲイ男性)の関係が長続きしないと語られてきたことと重なる。この映画は、そのような同性愛者と異性愛者のライフスタイルが交叉する時代ならではのものと言えるだろう。(砂川秀樹)
「包摂と自律の人間学―世界の映画から知る、家族のゆくえ―」国立民族学博物館 小長谷有紀
教科書やさまざまなパンフレットにえがかれている家族といえば、たいてい両親と男女2人の子どもたち。けれど、実際に統計をみるかぎり、そんな家族はもう平均的なすがたであるとはいえません。シングルの選択、国際的な結婚や養子縁組、日本ではまだ法的に認められていない同性婚、老後のシングルライフ、海外移住など。家族のすがたは変わりつつあります。血縁だけが家族の条件ではなくなる一方で、医療技術の進歩にともなって遺伝子的な近さが新たな意味をもつ時代です。映画にえがかれた家族のすがたから、現代世界を知りながら、今後のゆくえをさぐってみましょう。わたしたちは、いつでも誰かを助けることができると同時に、つねに多くの人びとに助けてもらっている生き物です。だから、自分とは意見のちがう他者を包み込みながら自分らしさをたもっていくことは、豊かに生きるための、1人ひとりの課題です。
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