みんぱく映画会
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2015年9月23日(水・祝)
台湾映画鑑賞会 映画から台湾を知る「一八九五」 -
チラシダウンロード[PDF:1.39MB]近年、台湾では、多文化主義運動の影響を受け、客家(ハッカ)や原住民を意識した映画が増加しています。本映画は、初めて客家語を主体として、日本が台湾を植民地とした1895年の、台湾住民が日本軍に抵抗した当時の状況を描き出したものです。抗日戦線のなかでの客家を中心に、閩南(びんなん)人、原住民との関係をも描き、映画を通して台湾の「多民族的状況」を見ることができます。また、当時日本軍とともに軍医として台湾に滞在していた若き日の文豪・森鴎外の視点で、状況が語られていくのも注目するところです。本邦初公開となる台湾映画「一八九五」を解説付きでご覧いただき、台湾への理解を深めていただきたいと思います。
- 開催日:2015年9月23日(水・祝)
- 場 所:国立民族学博物館 講堂
- 時 間:13:30~16:30(開場13:00)
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定 員:450名
※入場整理券を11:00から観覧券売場(本館2F)にて配布します。事前申込は不要です。 - 要展示観覧券(一般 420円)
- 主 催:国立民族学博物館
- 共 催:台湾文化部「台湾文化光点計画(supported by Dr. Samuel Yin)」
- 後 援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
- 協 力:青睞影視
台湾映画鑑賞会 映画から台湾を知る
- 「一八九五」 〈日本初公開〉
- 2008年/台湾映画/客家語・サイシャット語・日本語・閩南語/110分/日本語字幕付き
- 【開催日時】2015年9月23日(水・祝)13:30~16:30(開場13:00)
- 【監督】洪智育(ホン・ジーユィー)/陳義雄(チェン・イーション)
- 【司会】野林厚志(国立民族学博物館准教授)
- 【解説】河合洋尚(国立民族学博物館助教)
「映画解説」
19世紀末、日本が台湾に攻め込んだ時、それに対して立ち上がった地元の義勇軍による抵抗戦争(乙未(いつび)戦争)を描いた作品。義勇軍の総統である呉湯興(ごとうこう)とその家族を中心とする客家に焦点が当てられている。日清戦争で清が日本に敗れると、1895年の下関条約で台湾が日本に割譲されることになった。その報を受けて、革命リーダーである丘逢甲(きゅうほうこう)は、日本の植民地化に反対して独立を宣言し、台湾各地の郷士たちに抗日義勇軍の結成を呼びかけた。その要請に応じて義勇軍の総統に選ばれたのが、台湾北部の苗栗(びょうりつ)にいた呉湯興であった。呉湯興は、家族の反対を受けながらも、客家を中心とした義勇軍を結成し、抗日ゲリラの準備を進める。客家義勇軍は、閩南人や原住民の援軍を得てゲリラ戦を展開し、北白川宮能久親王を司令官とする日本軍に攻撃をしかける。ところが、戦局が長引くにつれ、義勇軍は食糧不足などにより力尽きる。本作品は、日本帝国軍による台湾接収の歴史を、北白川宮能久親王にともなって台湾に上陸した若き日の森鴎外の視点から描いている。また、客家語を中心に、日本語、閩南語、サイシャット語など、多言語で展開されるストーリーも見逃せない。(河合洋尚)
「客家」について
客家は、世界最大の民族である漢族の一集団である。一般的な歴史によると、客家は、古代王朝の所在地である中原(ちゅうげん)(北方)の民であり、戦乱を逃れるために華南地方の山岳地帯に移住した。さらに、客家は、華南地方から世界各地に移住し、華僑・華人の主要な集団の一つとなった。そのうち、一部の客家は、清代に特に広東省から台湾に移住し、桃園(とうえん)、新竹(しんちく)、苗栗などの地に定住した。現在、台湾では、同じ漢族である閩南人(ホーロー人)が大半を占めるが、約15%の客家が居住している。客家は、他の漢族とは異なる「独特の」言語・文化をもつといわれる。客家語は、古代中国語の系譜を引くと言われており、現在の標準中国語とはコミュニケーションを図ることができない。また、ユネスコの世界遺産に認定された円形土楼建築など、エキゾチックな文化が注目されるようになっている。その他、客家には「特有の」パーソナリティがあるといわれる。客家は、質素・倹約を好み、女性は青や紺などの地味な服を着てよく働き、愛国意識が強く、洪秀全(こうしゅうぜん)や孫文や丘逢甲のような革命リーダーを輩出してきた、というものである。こうした客家をめぐるイメージは、本作品でも顕著に表されている。(河合洋尚)
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