国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく映画会

2017年10月14日(土)
台湾映画鑑賞会 映画から台湾を知る「祝宴!シェフ」

多民族社会の台湾では、民族や地域ごとに特徴のある料理を楽しむことができます。オーストロネシア系の先住民族である原住民族、早い時期に台湾に移住し根をおろした福建系漢族や客家、第二次世界大戦後に移住をした中国大陸各地の人びとが豊かな食文化を育んできました。それぞれの食文化に深くかかわる料理では、味はもちろんのこと、ともに食べる時間も楽しみを与えてくれます。美味しいものをともに食べるという行為は、社会の中の絆をむすび、強くします。今回の映画会では料理を通して、社会のありかたを考えてみます。

  • 開催日:2017年10月14日(土)
  • 場 所:国立民族学博物館 講堂
  • 時 間:13:30~16:30(開場13:00)
  • 定 員:450名
    ※入場整理券を11:00から講堂前(本館2F)にて配布します。
    事前申込は不要です。
  • 要展示観覧券(一般 420円)
  • 主 催:国立民族学博物館
  • 共 催:人間文化研究機構基幹研究プロジェクト「アジアにおける「エコヘルス」研究の新展開」国立民族学博物館ユニット「文明社会における食の布置」
  • 協 賛:中華民国(台湾)文化部「台湾文化光点計画」
  • 協 力:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター

台湾映画鑑賞会 映画から台湾を知る

「祝宴!シェフ」(原題:總舖師)
2013年/台湾映画/台湾語・北京語/145分/日本語字幕付き
【開催日時】2017年10月14日(土)13:30~16:30(開場13:00)
【監督】陳玉勲(チェン・ユーシュン)
【出演】夏于喬(キミ・シア)/楊祐寧(トニー・ヤン)/林美秀(リン・メイシウ)
【司会・解説】野林厚志(国立民族学博物館教授)
「映画解説」

台北で暮らすシャオワンは恋人の借金が原因で、逃げるようにして故郷の台南にもどった。シャオワンの実家は食堂。父親は、台湾の南部で「神」とよばれた伝説の料理人であった。ただし料理人といっても、シャオワンの父親はもともとは、食堂やレストランで料理をつくるのではなく、屋外で催される宴会で料理をつくる料理人である「総舗師(ツォンポーサイ)」であった。父は娘に料理の才を見出し、台湾の伝統的な美食文化を継がせたかったのだが、当のシャオワンはあまり料理に関心を持たないまま成長していった。父が娘に遺したのが宴席料理のレシピ帳であったが、シャオワンは、台北から逃げる途中でこのレシピ帳をひったくりに奪われてしまう。
しばらくして、ひょんなことからシャオワンはレシピ帳を取り戻す。ただし、レシピ帳は焚き付けにされていて、肝心な部分は失われていた。おりしも、シャオワンは台北でおこなわれる料理対決のための料理を考えている真っ最中であった。失われたレシピ帳のページにこめられた父親の思いをシャオワンは見つけ出し、最高の料理をつくることができるのだろうか。

食文化を通して見えてくる台湾

台湾では、結婚式や節目の誕生日等、親戚や友人を招待しておこなう規模の大きなお祝いごとに宴会がつきものです。お祝い事に参加してくれた人たちを満足させることはとても重要で、そのために欠かせないのが宴席に出されるご馳走です。
台湾の宴会では屋外に設置した丸いテーブルで料理がふるまわれることがよくあります。一つのテーブルには10人くらいが座るので、招待客の数はすぐさま数百人に膨れ上がります。こうした宴席を設けることや宴席そのものを台湾では、「辦桌(バンドゥ)」とよびます。参加者の人数分の料理を準備するだけでも大変なのに、それ以上に、舌の肥えた来客を満足させる料理をふるまうという重責を料理人たちは担うことになります。美味しくない料理を出すことは、宴席を設けた主人の面子をつぶし、お祝い事がぶち壊しになるからです。
宴席を用意する主人やその家族の思い、そして宴席の参加者の思いを美味しい料理でつなぐことが総舗師の役割ですが、美味しい料理をつくれるだけでは十分でなく、それを限られた空間と時間の中で大量に次々と準備するマネジメント能力が求められます。「味を知り、人を知る」、総舗師にはそんな意味がこめられているのかもしれません。
この映画は、あまり脈絡のないドタバタ喜劇のように見えるかもしれません。しかしながら、意識して鑑賞すると、食文化だけでなく、台湾社会が抱える格差問題、食の安全、台湾人意識といったテーマが見え隠れします。そういったことも解説でふれながら、皆さんとこの映画を楽しみたいと思います。

台湾文化光点計画

台湾文化光点計画は、中華民国(台湾)文化部が国際的な文化交流の促進を目的として実施している文化事業です。海外の芸術文化、学術機関、大学等における講演会や講座、展示、支援を通して、台湾の文化や歴史を多くの人びとに紹介しています。国立民族学博物館では、2013年から台湾文化光点計画の助成を受け、台湾原住民族、客家の文化や歴史を紹介する講演会、映画会を実施してきました。

■お問い合せ先
国立民族学博物館 企画課博物館事業係
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