国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく映画会

2008年11月1日(土)
梵鐘づくり―滋賀県・五個荘町―

「夕焼け小焼けで日が暮れて、山のお寺の鐘が鳴る」と童謡に歌われるように、お寺の鐘は、一昔前までの日本人の日常生活と深く結びついた存在でした。今でも、大晦日には多くの寺で除夜の鐘が撞かれ、荘厳で奥深い音色を響かせています。
鐘は、江戸時代には各地に居住した鋳物師(いもじ)によってつくられてきましたが、近代化とともに、その技術を伝える鋳造所は減少の一途をたどり、現在は数えられる程度となっています。
この映画は、国立民族学博物館が1995(平成7)年5月9日から7月5日の約2ヶ月間にわたり、西澤梵鐘鋳造所が、大型青銅製品である梵鐘を鋳造する全工程を詳細に撮影した学術映像記録です。鐘の製作工程を通して、日本の伝統的な鋳造技術や鋳物師とよばれた職人の仕事の実態を知ることができます。

  • 日 時:平成20年11月1日(土) 13:30~15:30(開場13:00)
  • 場 所:国立民族学博物館 講堂
  • 定 員:450名(先着順、申し込み不要
  • 参加料:無料(ただし、特別展、常設展をご覧になる方は別途観覧料が必要です。)
  • 主 催:国立民族学博物館
  • お問い合わせ:国立民族学博物館 広報企画室企画連携係
    〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10番1号
    TEL 06-6878-8210
 
外型に施した文様を整える
外型に施した文様を整える
梵鐘鋳型の内型
梵鐘中子=梵鐘鋳型の内型
甑炉の出湯口
梵鐘鋳込=甑炉の出湯口
(のみぐち)をあける

●上映作品

『梵鐘づくり―滋賀県五個荘町―』(72分)

監  修 近藤雅樹
協 力 者 吉田晶子
製  作 1997年
撮  影 1995年
滋賀県東近江市(旧五個荘町を吸収合併)の西澤梵鐘鋳造所は、江戸時代以来の伝統技術を最も色濃く残す鋳造所である。 竹タガで締める土製鋳型や、その鋳型を大きな土坑に据えて、溶解炉から溶けた金属を流し込むという、 他の鋳造所ではすでに絶えてしまった梵鐘鋳造の技術が記録されている。

●解 説(鼎 談)

近藤雅樹(国立民族学博物館民族文化研究部教授・総合研究大学院大学文化科学研究科教授(併任))
1951(昭和26)年東京都生まれ。武蔵野美術大学造形学部卒業。 専攻:民俗学・民具研究。著書に『おんな紋』『霊感少女論』『ぐうたらテクノロジー』編著に『日用品の二〇世紀』『ねがい・うらない・おまじない』『図説大正昭和くらしの博物誌』など。

西澤吉太郎(株式会社西澤梵鐘鋳造所 代表取締役社長)
1930(昭和5)年滋賀県生まれ。江戸時代以来、東近江市五個荘三俣町(当時は三俣村)で、代々梵鐘造りを中心に鋳物師の頭領として活躍してきた一族の現当主。1983年に第三代吉太郎を襲名。一子相伝の技法を今に守り伝える名工。

吉田晶子(国立民族学博物館外来研究員・関西大学非常勤講師)
1956年(昭和31)大阪府生まれ。1979年関西大学文学部卒業。元(財)枚方市文化財研究調査会・枚方市立旧田中家鋳物民俗資料館学芸職員。専門は鋳造技術史・民具研究。1986年以来、西澤家の梵鐘鋳造技術の調査に取り組んでいる。