国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱくウィークエンド・サロン――研究者と話そう

2011年2月13日(日)
居庸関碑文の魅力
新言語展示関連 / 新展示フォーラム「春のみんぱくフォーラム2011―ことばの世界へ」関連

居庸関全景(撮影:池田巧)

○ 話題
居庸関は北京市北郊にある、古くからの関所で、万里の長城の南東端に位置します。この場所は、北京を首都とした遼、金、元、明、清の王朝にとっては、交 易・軍事上重要な意味を持った関隘でした。特に元朝は内蒙と北京両方を首都としたため、多くの人々がここを通りました。旅行者の安寧を祈念するため、過街塔が建てられ、後に仏殿となりました。その門洞には種々のレリーフが施され、門洞内部には2種のタントラ経典が、梵字、チベット文字、ウイグル文字、パクパ文字、西夏文字、漢字で刻まれています。この経典はダラニ(真言)の音を正確に写したもので、自然言語としての意味はありませんが、このことが西夏文字の解読に多くの示唆を与えたのです。

○ 話者
長野泰彦(民族文化研究部教授)

○ 場所
本館展示場(言語展示)