国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究公演

2009年10月11日(日)
南シベリア・トゥバの喉歌 ホーメイ

トゥバ共和国は、ロシア連邦を構成し、モンゴル国の北西に接しています。日本のおよそ半分くらいの大きさで、約30万人の人口のうち約70%がトゥバ人です。
彼らの話すトゥバ語は、テュルク系の言語で、トナカイを利用した狩猟や遊牧とともに、モンゴルのような5種類の家畜の放牧が共存してきました。ただし、現在では多くの人々が町に定住するようになっています。
彼らのあいだでは、アルタイ山脈周辺にみられる喉歌(のどうた)という独特な歌唱法が非常に発達しています。
今回は、近年、注目を集めている女性のグループをお招きし、刷新されつつある伝統をご堪能いただきます。 小長谷有紀(民族社会研究部教授)

  • 2009年10月11日(日) 13:30~16:30(開場13:00)
  • 場所:国立民族学博物館 講堂
  • 定員:450名〈要申込〉
  • 参加料:無料(ただし、特別展・常設展をご覧になる方は別途観覧料が必要です)
  • 主催:国立民族学博物館
  • 参加方法:
    往復はがきに住所・氏名(返信用おもてにも)・年齢(任意)・電話番号・参加希望人数(本人を含め4名まで)を明記のうえ、「10月11日研究公演」と書いて下記までお申し込みください。応募者多数の場合は抽選となります。なお、参加申し込みされた方の個人情報は、研究公演のみに使用いたします。
  • 申込先:
    〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10番1号
    国立民族学博物館 広報企画室企画連携係
    申込受付は終了いたしました
  • チラシダウンロード[PDF:904KB]
お問い合わせ
〒565-8511 吹田市千里万博公園10番1号
国立民族学博物館 広報企画室企画連携係
TEL : 06-6878-8210(平日9:00~17:00)

【出演】

トゥバクィズィ(トゥバの娘たち)

トゥバクィズィ(トゥバの娘たち)

  • チョドラー・トゥマット Choduraa Tumat
    担当:ホーメイ、スィグィット、ビザンチ、ドシュプルール
  • アイランマー・ダムラン Aylanmaa Damyran
    担当:ホーメイ、スィグィット、ホムス、イギル
  • ショルバナー・ダンズン Sholbana Denzin
    担当:ホーメイ、カルグラ、ドシュプルール
  • マヤ・ドゥプチュル Mayya Dupchur
    担当:ホーメイ、イギル
 

【司会】

小長谷有紀(こながや ゆき)

国立民族学博物館(民族社会研究部教授)

 

【解説】

巻上公一(まきがみ こういち)

日本トゥバホーメイ協会代表。歌手、作詩、作曲家。日本著作権協会評議員。1994年から15年間、トゥバとの交流を続けてきた。2008年トゥバ政府から文化功労賞を受賞。ロックバンド「ヒカシュー」のリーダー、ボイスパフォーマー、プロデューサーとしても知られている。CD多数。

 
南シベリアのトゥバ共和国から
女性だけの喉歌(ホーメイ)グループがこの秋来日!!

トゥバクィズィ(トゥバの娘たち)

リーダーのチョドラー・トゥマットはじめ、かつては、だみ声の男だけのものと思われていた歌唱法を操る美しい乙女たちは、世界でも驚愕の的。
現在、アメリカで2枚のアルバムが発売され、チョドラーのソロも発売されている人気グループである。
2000年に国際交流基金のサポートで東京・国際交流基金フォーラム、越後妻有アートビエンナーレ「大地の芸術祭」、大阪・世界民族芸能祭「ワッショイ!2000」に招聘された。
なんと9年ぶり2度目の来日!!

■トゥバ共和国とは

ロシア連邦トゥバ共和国。モンゴル国、アルタイ共和国、ハカス共和国に隣接する、ロシア連邦を構成する共和国のひとつ。面積は日本の約半分、人口は約30 万人、そのうち約2割が今も遊牧生活を続けている。国をエニセイ川が横断し、豊かな森林(タイガ)と、3000メートル級の山岳地帯、ブッシュが生えるステップ地帯、そして砂漠地帯と、自然の変化に富んでいて、アジアの遊牧形態がすべて見られるといわれている。1年の半分は冬で、マイナス40度以下に、一方夏はプラス40度になることもある。全人口に占めるトゥバ人の割合は64%で、他の共和国よりも割合は高いが、日常生活においてはロシア化がかなり進んでいる。

■ホーメイ(Khoomei, xoomei)とは

ロシア連邦トゥバ共和国に伝わる喉歌。もともと声に含まれている倍音の高音部を、声帯の力で意識的に強調させて口笛に似た音を出し、舌や口腔を微妙に動かして美しい倍音を紡ぎだす。非常に低い倍音を出したり、音を細かく震わしたりと、発声法が7種類以上(28種類という説も)ある。馬や豚や蛇の皮を張った様々な楽器や、口琴などと共に演奏される。また、この他にもアルタイ山脈周辺地域には類似した喉歌が伝えられ、モンゴル国ではホーミー、アルタイ共和国ではカイ、ハカス共和国ではハイと呼ばれている。

■ホーメイの主な種類

  • ホーメイ
    ホーメイはトゥバの喉歌芸術の全体をさす場合にも用いられるが、ホーメイの中に「ホーメイ」といういわば喉歌の基本ともいえる歌い方がある。これはスィグィットに比較すると、高音をあまり響かせず、静かで穏やかに歌う。
  • スィグィット
    口笛のような鋭い高音を響かせる歌唱法。さあっと吹き抜ける風のような、爽快な歌唱法。
  • カルグラ
    地鳴りのような超低音を響かせる歌唱法。
  • その他
    ギャロップのように音にリズムをつける唱法(エゼンギレール)、舌を震わしてたなびく旗のように音を転がす唱法(ボルバンナディル)、カルグラをしながらスィグィットの要領で発声する唱法(カンズック)などがある。また、これらのテクニックを同時に組み合わせて行うこともある。