国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

パプアニューギニアの歌と踊り パプア・ニューギニアについて

パプア・ニューギニアについて

■概 要
面 積:461,693キロ平方メートル(日本の約1.25倍)
人 口:約390万人(1993年)
年間降水量:2,000ミリ(ガルフ沿岸部5,000ミリ/ポートモレスビー1,200ミリ)
独立年月日:1975年9月16日
首 都:ポートモレスビー(人口約20万人)
言 語:公用語:英語 共通語:ピジン語、モツ語
宗 教:キリスト教等
政 体:立憲君主制
主要産業:農林水産業、鉱業
天然資源:金、銅、木材、水産物
主要輸出品:金、銅、木材、コーヒー、ココア(対日:銅、木材、コプラ、エビ)
教 育:PNG大学、ラエ工科大学、ゴロカ教員養成大学、ブダル農業学校、行政大学、ブロロ林業学校、ケビアン水産訓練学校
国連加盟:1975年10月10日(142番目)


■国 土
 赤道と南緯10度の間にある、世界第二の島ニューギニア島の東半分と、周辺の大小700もの島々によって構成されています。日本の約1.25倍の面積を持つこの国は、ニューギニア島を東西に走る中央山脈を境に北部をニューギニア地域(ニューアイルランド島、ニューブリテン島、ブーゲンビルを含む)、南部をパプア地域に大別されます。
 この中央山脈は、海抜4649mのウィルヘルム山を最高峰とするビスマルク山脈から、オーウェン・スタンレー山脈へと連なり、いずれも4000m級の高峰が連なる大山脈です。火山が多く、河川は中央山地より北に太平洋に注ぐセピック川、南はパプア湾及びアラフラ海に流れるフライ川があり両域には広い低湿地帯があります。国土のほとんどは熱帯雨林におおわれています。

■人 種
 パプア・ニューギニアには5千年もの昔からアジアから移って来た人種が居住していたと考えられていますが、高地の谷間では8000年以上も前の農耕集落の遺跡が発見されています。その後カヌーでやって来たポリネシアやミクロネシアの人々、マレー系、ジャワ系の人々が混血して形成されました。
 現在の住民の大部分はメラネシア系人種に属し、パプア族と、メラネシア族に分けられます。(メラネシア人はポリネシア人、ミクロネシア人とともに南太平洋3大民族の1つ)総人口は約390万人と推定されパプア地域に150万人、ニューギニア地域に240万人が住んでいます。

■言 語
 公用語は英語とされています。しかし500以上の部族が700以上の異なる言語を使用しているため、一般に共通語として、現地化された英語のピジン語とその他にモツ語が用いられています。

■気 候
 わずかのサバンナ帯を除き、熱帯降雨林に覆われています。5月~11月が冬(乾季)で比較的乾燥しており、12月~4月の夏(雨季)は高温多湿で降水量は大部分の地域で2500mm前後ですが6000mmを越すところもあります。
 海岸地帯では年平均気温が30℃を越すところもありますが高地では涼しく、平均気温で10℃程の差が両地域にあります。

■産 業
 パプア・ニューギニアの産業は、農業と鉱業の2つを主産業としています。中でもコプラ(COPRA)、コーヒー(COFFEE)、ココア(COCOA)の生産量は大きく、銅鉱石(COPPER)とともにこの国の経済を支える4つの“c”と呼ばれています。コプラはヤシの実を割って中の脂肪を取り出して作られるもので、重要な食料資源にもなっています。その他、ゴム、紅茶、除虫菊などのプランテーションが営まれ、コプラ油、ヤシ油などとともに、この国の主な輸出物となっています。10年以上にわたりサトウキビの栽培が行なわれ、米の栽培計画も検討されています。
 また、パプア・ニューギニアは豊かな天然資源に恵まれた幸運な国でもあります。全輸出量の3分の2を占めているのは鉱産物で、中でも、銅鉱石の輸出量は抜いています。金、銀、鉄、プラチナなども採取され、パプア湾と南部高地では、石油や、天然ガスの埋蔵も確認されています。鉱石の主産出地は1972年から生産しているブーゲンビルの鉱山で、年生産量平均17万トンを誇り、世界も有数の鉱山の一つです。また、フライ川上流、西イリアンとの国境にあるオクテディ鉱山も1981年から開発を始めており、今後の産出が期待されています。その他、国土のほぼ90%を覆う豊かな森林資源、エビ、マグロ、カツオなどに代表される水産資源にも恵まれています。
 日本企業の進出も多く、1981年に日本の民間漁業団体とパプア・ニューギニア政府との間で結ばれた入漁協定は、1986年に廃止されましたが、復活させる努力が続けられています。貿易では、輸出の3割を占める日本との関係は年々上昇する傾向にあり、79年度以来、日本は第一位の貿易相手国となっています。従来の鉱業生産地のほかに水産、森林資源の開発に伴い、魚貝類、木材の比重が高まっています。

■観 光
 大小700もの島々からなるパプア・ニューギニアは、地上最後の楽園とも呼ばれています。秘境と呼ぶには余りにも色鮮やかで陽気な世界は、訪れる人をワントク(ピジン語で親友の意昧)として迎えてくれるでしよう。セピック川流域の村々の中心に建てられる精霊の家(ハウス・タンバラン)や、シンシンと呼ばれる高地のお祭りの衣装や化粧は、不思議なエネルギーにあふれています。  ブンと呼ばれるマーケットでは、豊富な果物や野菜、民芸品や、衣類が並び、素朴な土地人々の生活をかいま見ることができますし、環礁で採れる魚を使った野趣に富んだ郷土料理を昧わうのも楽しいものです。  また、極楽鳥や野性の蘭、びんろう樹やヤシの木の緑、280キロにも及ぶ美しい海岸線でのマリンスポーツなど、ここを訪れる人々は、南国情緒に魅せられることでしょう。

国際交流基金作成:「カイオジ文化グループ・公演プログラム」から転載 】