研究公演
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1999年6月20日(日)
アイヌ神話と口承文芸の世界 -
- 1999年6月20日(日)
- 14:00~(開場13:00)
- 司 会:大塚和義(国立民族学博物館教授)
- 解 説:小山修三(国立民族学博物館教授)
- 出 演:萱野 茂(二風谷アイヌ語教室 萱野茂アイヌ資料館
- 協 力:ビクターエンタテイメント(株)
アイヌの口承文芸にはさまざまなようしきがあります。
そのなかで、代表的ともいえるのが、カムイユカラ(神謡)、ユカラ(英雄叙事詩)、ウワエペケレ(昔話、民話)です。
カムイユカラは、神が自らの体験談を語る物語です。アイヌ世界の神(カムイ)というのは、アイヌ(人間)の生活と関わるもの、動物や植物という自然の恵みばかりか、風や雷、火、あるいは天然痘といった病気まで含みます。人間が生きていくために自然と上手に共存していく知恵を伝える内容となっているのです。地方によっては、主に女性(メノコ)が語ることからメノコユカラとも言われます。
ユカラは、ポイヤウンペとかオキクルミなどと呼ばれる少年を主人公とした勇壮な冒険物語です。彼らは人間といっても、空を飛んだり姿を消したり、化け物と戦っても負けない超人です。語り手は棒(レプニ)で炉縁などをたたいて拍子をとりながら、節をつけて語ります。
ウケエペケレは先の二つとは異なり、節をつけずに語られます。人間の世界が舞台となっており、生活のなかで守りべき規範や、事件などから学びとるべきことを次の世代に伝える意味をもっています。
関西地区においては、アイヌの口承伝承を聴く機会はほとんどありません。この語り部の第一人者である萱野茂氏をお招きして、その神髄を語っていただくひとときをもうけました。また、萱野氏ご自身が収録してCD-ROM化したものもお聴きいただきます。
世界の口承伝承のなかで、アイヌのそれはどのような位置を占めているのか、その意味するところを、オーストラリアのアボリジニや北米の北西海岸などとの比較をとおして、小山修三教授が語ります。
アイヌの口承伝承の世界を知るたのしいひとときにしたいとおもいます。