国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

Seoul Style 2002 E-News 『こりゃKOREA!』


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Seoul Style 2002 : E-News
『 こりゃKOREA!』
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/index 
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  こりゃKOREA! 2号目次
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   ◇─2002年ソウルスタイル ここだけの話-2 奮闘記
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   ◇─お知らせ:イベント情報等
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   ◇─編集後記:こりゃこりゃ通信

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  ● 2002年ソウルスタイル ここだけの話 - 2
      奮闘記
中野豪雄(なかの たけお)
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 この展覧会に関わることになった発端は、私が別件で担当している仕事でお世話になっている方が今回の「2002年ソウルスタイル」展の企画に参加していることからでした。当初は「とりあえずこんな感じでポスターのラフ案をつくってみて」と伝えられる程度だったので、展覧会のデザインといってもポスターとチラシ程度かな?と軽く考えていたのです。いざ、ポスターデザインのための材料を受け取ってびっくり、デジカメで撮影された3000点の李家の「モノ」を前に、「ま、すぐできるでしょ」という甘い読みは簡単にふっとびました。

 この3000点の「モノ」に一通り目を通し、一つ一つ切り抜いては画像に貼り込むという作業を永遠とくり返していきます。デザイン案も2つが4つに、4つが8つに・・・ 一つ一つのラフに対して3,000点の「モノ」を選び直し、ちりばめていく、まさに家財との格闘の日々でした。これがポスターだけならまだしも、チラシ、招待券、観覧券、看板4種、のぼり、Tシャツ、パンフレットと展開していくとは・・・。

 素材はこの3000点の「モノ」と、韓国の「ポジャギ」を使いました。端切れを縫い合わせてできたアートに近い美しさを持つこの布と、もちろんポスターという一つの完結した世界に置き換えられることを前提としていない李家の数々の「モノ」とをどう組み合わせるか、勝井(勝井デザイン事務所代表)と共にかなり頭を痛めたところです。企画側はこの展覧会の猥雑さを表現してほしい、でもデザイナーとしては美しいものに仕上げたい、そして扱う材料は「ポジャギ」と「モノ」。この相反する両者の溝をどうやって埋めていくか、もしかしたら、デザイナーの力量が一番試されるような課題なのかもしれない。そう思ってからがぜん緊張感は高まりました。

 この高まる気持ちとはうらはらにトラブルが多々発生します。私の仕事場は東京なので、メールでみんぱくにデザインラフを送付して確認をとっていました。はじめはラフなので、ポジャギは雑誌からコピーした軽いデータ量のもので作業効率を優先していました。デザインも決まり、いざちゃんと撮影されたポジャギの原稿をデータ化しようと広報室に問い合わせた所、なんとそのラフで送っていた雑誌のコピーが正規の原稿だと思い込んでいたようなのです。私は私でポジャギの写真原稿がすでに用意されているものとばかり思い込んでいました。入稿まで残り時間あとわずか。改めて撮影するための予算も時間もありません。さぁ困ったというところで、天からの恵みです。その雑誌に掲載されていたポジャギを所蔵している出羽桜美術館に問い合わせた所、その雑誌で使用したポジャギの写真原稿の控えがありました。しかも無償で貸してくれる!この場を借りて、出羽桜美術館に感謝!!!!!!

 こうして、トラブルをくぐり抜け、企画側との度重なるやり取りの中でポスターのヴィジュアルは生まれました。展覧会の印刷物のデザインというのは、展示場の持つ空間のイメージ、企画のコンセプト等をぎゅっと圧縮していく作業といえます。そのメインヴィジュアルが決定すればどんな媒体に置かれようとも次々と展開していくことができる。その分、核となる情報を緻密に作らなければならない。扱う情報が拡大すればするほどそのための苦労は伴っていきます。たまたま作業的に材料が大変な量だったため、かなり時間を要してしまいましたが、その分の出来ではあるかな?・・・・・あってほしいですね。

 今回の特別展は今までのみんぱくで行われてきた展覧会のイメージを打ち破りたいという企画側の意図がありました。そのための第一歩として広報に関わる印刷物に力を入れるのは必然といえます。長きにわたって厳しい作業をこなしていけたのも、みんぱくの熱意と一家まるごと展示場にもちこんじゃうというとてつもない企画の力なのかもしれません。その並々ならぬパワーに負けない様、そしてそのイメージを印刷物としてメッセージに置き換えられる様に、勝井のアートディレクションのもとで制作したつもりです。このポスターが展覧会を見に行こうと思うきっかけに少しでもなってくれれば幸いです。今までのトラブルや膨大な作業量はすべてチャラになってくれるでしょう。

 実はわたくし、恥ずかしながら韓国に行ったことがありません。なので韓国という国がどんなところなのか、テレビや雑誌でしか情報を得ていませんでした。そんな自分がこの「2002年ソウルスタイル」展に関わり、4ヶ月間韓国の一般家庭の品々とにらめっこしていたわけですから、自然に興味がわいてしまいます。ワールドカップもあることだし、これを機に韓国旅行を計画してみようかな。あ、でもその前に「2002年ソウルスタイル」展を見に行かないと。
(勝井デザイン事務所)

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  ● お知らせ

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       ☆☆☆「2002年ソウルスタイル」イベント情報☆☆☆
    http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/event
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      ★3月23日(土)特別展関連フォーラム
        私たちの家にようこそ ─ 李さん一家とすごす一日
      ★4月7日(日)「ワンコリアフェスティバル in みんぱく」
        日韓・食のフォーラム
        マダン劇団「ノリペ シンミョン」公演
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  ┌─────新聞・雑誌で「ソウルスタイル」が紹介されました!──────┐
    『博物館研究』Vol.37 No.2, P62
    『韓国文化』2002年2月号, P55
    『文部科学時報』2002年2月号, P83
    『季刊ポテトチップス』No.24, P15
    神戸新聞2月19日(火)「韓国の暮らしを丸ごと再現」
    毎日新聞2月21日(木)「ちょっとのぞいてみませんか隣国の日常生活…」
    朝日新聞3月18日(月)「ソウルの暮らしまるごと展示」
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    3月21日(春分の日)開幕
      ☆特別展「2002年ソウルスタイル ─ 李さん一家の素顔のくらし」
      【会期:3月21日(木)~7月16日(火)】
       http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/index
      ★国立民族学博物館のホームページ:みんぱくウェブサイト
       http://www.minpaku.ac.jp/
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 ■ 編 集 後 記 :こりゃこりゃ通信 ■ 
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 きゃーかわいい!!と評判のポスターを担当してくれたのは、勝井三雄(みんぱくのロゴマークの作者といったらおわかりでしょう)事務所の中野さんです。はじめ、ポスター・デザインは李朝民画の文房図とポジャギの2案が同時進行していました。最終的にポジャギでいくことに決まったのは12月、トラブル発生のとき、私は李さんの「引っ越し」のためにソウルにいました。夜おそく宿にもどってネットにつなぐと、対応をめぐって中野さんとINAXギャラリーの入澤ユカさんのあいだを緊迫したメールがとびかっているのです。ああ、花火のように美しい、とまるで他人事のようにやりとりをながめていたものです。その入澤さんの秘話は次号。

 万博外周道路では一足はやく2月すえにお目見えしていた特別展用の横断幕。お隣エキスポランドの「大江戸魔界列傳」的大迫力のまえに、すっかり根暗イメージが定着したみんぱく広報ですが、今回は「スーパー戦隊ワールド2002」を尻目に、花のように美しく、凛々しく、見る者のこころをかきたてていますよ!

 3月11日から3日間、オモニこと金英淑さんが来館しました。佳境にはいった展示場の最終チェックのためです。2日間はテレビ局の取材がはいってしまい仕事はおもうようにはかどらず、それでもガスレンジの汚れを発見して台所の掃除と雑巾がけをはじめ、それが済むと、浴室に干した洗濯物にアイロンをかけようとするので、おもいとどまらせるのに苦労しましたよ。住んでいた本人がそうおもうほど、展示場は自分の家そのものの出来映えです。そうそう、まちがって送られてきた最新のビデオデッキはめでたく見つかり、しっかりもっていかれてしまいました。残念!それに、調査のあとで手にいれた未使用の急須セットと貯金箱のなかにあった100円玉7枚も見つかって、、、、 身の回りの物をたとえ全部うしなおうと、オモニはいつまでもオモニなので安心しました ヽ(^o^)丿

 こりゃKOREA!第2号をおとどけします。『まぐまぐ』の登録に手間取ってしまいましたが、特別展を2倍たのしむこのプロジェクトはちゃくちゃくと準備がすすんでいます。
 ところで、超おやじ的センスなこの電子ニュースのタイトル、誰が命名したのかと一部で取り沙汰されているようですが、編集を担当してくれている鈴木わかえさんが必死にかんがえたのだという噂も?!本人は否定していますが、これからもどうぞよろしく。
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     ※このE-Newsは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して
    発行しています。
    http://www.mag2.com/ (マガジンID:0000086722)
      E-News配信解除: http://www.minpaku.ac.jp/special/200203/news/
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編集・発行:2002年ソウルスタイル・プロジェクト・チーム 

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