国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

Seoul Style 2002 E-News 『こりゃKOREA!』


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Seoul Style 2002 : E-News
『 こりゃKOREA!』
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/index 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2002.05.21 ━

 特展会場、2階に上がる階段の裏につくられた開かずの部屋、近づいた者をあやしくいざなう棺、、、冷蔵庫のなかのキムチは食べられるのか??
 どうにも気になるものがつぎつぎとあらわれ、半日かけても見尽せない!多くの謎と魅力にからみとられてしまった人が急増中の「ソウルスタイル」から、こりゃKOREA第9号をお届けします!!
清水郁郎(副編集長) 
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  こりゃKOREA! 9号目次
   │
   ◇─2002年ソウルスタイル ここだけの話-12
   │   生活財データベースのシステム開発
   │
   ◇─2002年ソウルスタイル ここだけの話-13
   │   モノはつきあいを語る
   │
   ◇─こりゃこりゃ探検隊
   │   みんぱくシヂャン[市場]に行ってみよう!
   │
   ◇─お知らせ:イベント情報等
   │
   ◇─編集後記:こりゃこりゃ通信

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  ● 2002年ソウルスタイル   ここだけの話 - 12

      生活財データベースのシステム開発
鈴木浩之(すずき ひろゆき)
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 生活財3000点にも及ぶ資料、最初にデジタルカメラにて写真を収集し、各写真について情報を入力する。気兼ねせずに写真をとるかたわらで、その写真を携帯端末に取り込んで文字情報も入力し、効率よく作業を進めたいという佐藤先生の言葉もあって、いかにしてそれをシステムの形で実現するかを考えました。
 ただ単に写真に関して文字を入力するというよりも、視覚的に動きのあるもの(複数の写真をサムネイル表示し、システムを動かす人が自由に写真を動かすことにより文字入力できる)とか、最初に写真があって、それに付随する形で文字入力があるという考えがこのシステムを作る根本にあり、今まで“文字"をベースにシステムを考えていた私にとっては今回非常に参考になりました。
 互いの写真を自由に動かして写真のリンク付けを行うというのが今回難しかった点でしたが、それよりも、

表示する写真の選択はシステム起動時の一度だけでいい
 →写真の選択ができるのであれば写真の入っているフォルダをシステムの中で
  自由に選択できるようにしてほしい
 →写真の表示は文字入力の済んでいる画像とそうでないものとを写真の縁取り
  の色で区別したい

というように要求が変わっていったことへの戸惑いと、それらを網羅したシステ ムの提案が何故当初から出来なかったかという悔しさを思いました。
 そういう状況で、やっと完成にこぎついてからその後、今回のこのシステムを使って作成されたデータや写真がベースとなって特別展で公開されているという話をうかがい、感慨を受けました。
(株式会社日本アルトマーク)

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  ● 2002年ソウルスタイル   ここだけの話 - 13

      モノはつきあいを語る
武田祐佳(たけだ ゆか)
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 「データベース作成のアルバイトやらない?」という話が来たのは昨年の春頃だったと思います。声をかけてくれたのは友人の金香来さんだったのか、朝倉敏夫先生だったのか。今となっては記憶がさだかではありませんが、生活費に汲々としている大学院生の身としては願ったりかなったりの話でした。作業は空いている時間に家でできるというし、韓国語の勉強にもなるし。ほんの軽い気持ちで引き受けたのが、その後6ヶ月にわたることになった李さん家(ち)の家財道具との格闘の始まりでした。

 私が担当したのは、韓国語で書かれた家財道具の名前やメモ書きされた文章を日本語に訳すこと、そしてそれらのデータを韓国語でコンピュータに入力すると いうものでした。データ量の多さもさることながら、もっとも頭を痛めたのが、モノの「名前探し」でした。
 たとえば、韓国語で「寿司の装飾フィルム」と書いてある。いったい何のことかと思い、デジタルカメラで撮った写真をみてみると、お寿司を買うと必ずついてくるあの緑色の葉っぱではないか。今まで何度もみてきたのに、改めて名前を問われるとさっぱりわからない。そこで離れて住む母親に電話をかける。

「あのさあ、お寿司とか買うと緑色の葉っぱの飾りが入ってるやん。あれ、なんていったっけ」
「確か、はらんというんじゃない」。

 それを聞いて、ああ、あれには「はらん」という名前がちゃんとついていたのか、と妙に感動(?)したこともありました。あるいはまた、スーパーの日用雑貨売り場まで足を運び、商品名を調べることもありました。ランニングとタンクトップとはどう違うのか、パンツなのか、パンティなのか、ショーツなのか。身の回りにあるものなのに名前を知らないものがなんと多いことか。これは今回の作業を通してわかったひとつの発見でした。

 こうした格闘のせいか、作業を始めた当初は、正直いって、こんな日用品のひとつひとつを調べて、いったい何がわかるというのだろうかと思ったこともありました(朝倉先生、佐藤先生、ごめんなさい)。ところが、しばらく作業を進めていくうちに、私は、「李さん家っていやに贈り物の多い家だな」ということに気づきました。
 入手の経緯をみると、後輩や大学の恩師からのプレゼント、田舎に住む母親や国内外に住むきょうだいからのプレゼントといったものが結構ありました。そうした贈り物以外にも、デパートの主婦モニターやボランティア活動の記念品や、テレビ番組に参加したときにもらったという品物も多く、私はそうした品々の由来などをコンピュータに入力しながら、李さん家をとりまく人たちの姿を、あるいは一家のオモニである金英淑さんの日々の活動の一端を、非常に漠然とした状態ではあるけれども、頭のなかで思い描くようになっていました。つまり、なんの変哲もないモノたちは、しっかりと李さん一家のつきあいの広さやつきあいの深さを私に物語っていたのでした。
(奈良女子大学大学院博士後期課程)

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  ● お知らせ

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       ☆☆☆「2002年ソウルスタイル」イベント情報☆☆☆
    http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/event
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      ■□■特別展示館地下「みんぱくシヂャン(市場)」■□■
      □■□民博の前庭  「みんぱくマダン (広場)」□■□

     シヂャン……「韓国の食」、「日本の韓国食」コーナーなど
           韓国『食の世界』を展示します。
           土・日・祝日に韓国食の出店、販売を行っています。

     マダン………毎週日曜日(5月19日をのぞく)の1時からと
           3時からの2回、安聖民さんのパンソリ公演を
           おこなっています。
      ※雨天の場合は常設展1階エントランスホールで開催。
           
      あなたが主役です。みんぱくマダンで韓国芸能を公演したい
      方は、ソウルスタイル係までお申し込みください。
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         シヂャン、マダンのお問い合わせ・お申し込み
              みんぱくソウルスタイル係
          TEL: 06-6878-8532 / FAX:06-6878-8247
            E-MAIL:junbi@idc.minpaku.ac.jp
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    ●○●○ 「2002年ソウルスタイル」 オリジナル・グッズ ○●○●
 
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        ・Tシャツ(白/紺、L・M・S)
           カラフルなデザインが個性的! \2,625-
        ・トートバッグ(生成)
           使い方自由自在、横長のバッグ \2,415-
        ・ミニタオルハンカチ3枚セット
           仮面を描いた酒びんをポイント刺繍 \1,197-

    ━━特別展解説書━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     「2002年ソウルスタイル―李さん一家の素顔のくらし」\1,890-
            (A4判 120ページ ハングル訳付)
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     特別展で公開されている李源台さん一家のすべてのモノを紹介。
     冷蔵庫の中身やおかあさんの買い物リスト、一家の収入と家計、
     一週間の食事メニュー、家族の行動など、李さんちの情報を満載。
     現代韓国社会を特徴づけるトピックを第一線の研究者たちが読み
     解くコラム、韓日統計比較などももりこんだ、「2002年ソウルス
     タイル」を10倍楽しんでいただける1冊です。

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          ※お問い合わせは、ミュージアムショップまで
             TEL/FAX:06-6876-3112(水曜休)
             E-MAIL:shop@osaka.email.ne.jp
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  ┌────新聞・雑誌で「ソウルスタイル」が紹介されました!───┐
    輸入車情報誌月刊グー・ワールド6月号
     「いい機会だから知っておこう。サッカーのこと、韓国のこと。」
    奈良新聞4月25日(木)
     「韓日共同開催特別展が開催されている国立民族学博物館へ」
    讀賣新聞5月3日(金)
     「生活空間を再現 ─ 韓国の『今』を見る」
    京都新聞5月6日(月)
     「韓国人の生活を100%体感」
    日本経済新聞(夕刊)5月9日(木)
     「ソウルフル・ライフ(1)一つの布団に寝る夫婦」
    日本経済新聞(夕刊)5月16日(木)
     「ソウルフル・ライフ(2)好条件求め転職・独立 」
    北日本新聞5月20日(月)
     「韓国人の生活100%体感」
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     ☆特別展「2002年ソウルスタイル ─ 李さん一家の素顔のくらし」
      【会期:3月21日(木)~7月16日(火)】
       http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/index

      トドリのフィールド雑記
       http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/todori/
        現在の韓国の多様な側面を伝えるエッセー。随時掲載。

      韓国パック
       http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/pack/

     ★国立民族学博物館のホームページ:みんぱくウェブサイト
       http://www.minpaku.ac.jp/
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  ̄ ̄ ̄ ̄こりゃこりゃ探検隊 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
         みんぱくシヂャン[市場]に行ってみよう!
         http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/news/28
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 国立民族学博物館の正門を抜け、数メートル歩くと、地下へと通じる怪しげな階段が…。たちのぼる異国の香りに誘われて、思わずのぞき込むと階段わきには色とりどりの韓国語の看板がずらり。
そう、ここは、みんぱくシヂャン[市場]への入り口です!

シヂャンには、韓国食販売コーナー、「韓国の食」、「日本の韓国食」、「韓国農水産物流通公社」など、韓国『食の世界』の展示コーナーがあります。(出店・販売は土日祝のみ。韓国食の販売品目は、日により異なります。)

 韓国食販売コーナーでは、屋台さながらお手ごろな価格で、おなじみのキムチ鍋や、激辛キムチラーメン(インスタント)、チャプサルなどが味わえます。韓国では、駄菓子屋さんなどで販売され、こどもたちの定番おやつになっているというチャプサル(100円)は、中につぶあんがぎっしりつまってボリューム満点、揚げたてが最高においしい!人気の「ポグムチャリ」のゆず茶(一杯100円)との相性もぴったりです。「ポグムチャリ」は、コミュニティ運動から発展した会社で、韓国産の素材をつかって良質のジャムやお茶を生産しています。韓国でもデパートでしか売っていないということですから、要チェックですよ!「ポグムチャリ」に限らず、シヂャンでは、鶴橋でもなかなか売っていないような品物を、お手ごろ価格で提供しています。「ソウルスタイル」の展示の趣旨に賛同して、現地と変わらない価格で企業が提供してくれているおかげだそうです。
そのほか、雑貨売り場では、海苔、冷麺、キムチ茶漬け、スープ餅のトックなどの食材や、スプーン+お箸のセット、保存容器のオンギ、やさしい色合いのパッチワークが美しいシルクのポジャギなど、韓国ならではの雑貨が販売されています。

シヂャンで韓国の屋台の雰囲気を楽しんでいたとき、地上からにぎやかな音楽が聞こえてきました。ちょうどマダンで、民族学級のみなさんの公演がはじまったところでした。マダンでの演技を終えたこどもたちもやっぱりシヂャンへ!「いただきまーす!」
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/news/31

これから「ソウルスタイル」を見に来る方は、ぜひ週末においでください!展示を見て、マダンの公演を楽しんで、シヂャンで韓国食にふれて、ぷち韓国旅行の気分が味わえるかも???
鈴木わかえ(こりゃこりゃ探検隊員)
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 ■ 編 集 後 記 :こりゃこりゃ通信 ■ 
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 展示場1階にはアパートの部屋をぐるりとめぐって壁が吊り下げられています。この壁面を埋めつくす家財道具類の写真は、2000年末の調査時に李家にあった3200点の生活財資料の一部。写真とともに記録した調査シートは積み重ねると60センチほどの高さになります。この資料をパソコンにいれて持ち運べるようにデータベースの作成がはじまりました。やがてデータベースは、資料整理をはなれて、実際に調査でつかえるものへと発展し、二種類のプログラムが完成しています。調査のあいだもこまかな仕様変更と修正をくりかえすことが可能だったのは、辛抱強くつきあってくれた鈴木浩之さんのおかげです。完成までにやりとりしたメールの数は100通を超えました。

 最大限の忍耐を発揮してくれたのは翻訳と入力を手伝ってくれた武田祐佳さんも同様。ハングルで記入された3200枚の調査シートすべてに目を通して、チェックリストまでつくってくれました。台所用品にはじまって、婦人靴の名称から化粧品の分類まで、私もまた、これまで名も知らない物にかこまれて人生をおくってきたことをつくづく思い知らされたひとりです。今年のお正月は、通販カタログの婦人下着のページと首っ引きでパンティとショーツのちがいを探求していたりして(^^ゞ 下駄もないのに下駄箱とか、筆もないのに筆箱とか、、、身の回りの世界がにわかに不思議にみちみちて見えるようになったものです。

 ソウルスタイルの挑戦がどんなに無謀なものであったとしても、そのベースにあるのはこうした地道な作業の積みかさねです。ただ物をならべただけにみえる展示をささえているのは、李さん一家以上に彼らのことをよく知っているという壮絶なまでの自負!

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     ※このE-Newsは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して
    発行しています。
      http://www.mag2.com/ (マガジンID:0000086722)

        E-News配信解除: http://www.mag2.com/m/0000086722.htm

      バックナンバー: http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200203/news/index
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編集・発行:2002年ソウルスタイル・プロジェクト・チーム 

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