国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

特別展「更紗今昔物語─ジャワから世界へ─」

更紗今昔物語─ジャワから世界へ─
 
展示の趣旨
 
1900年製のスイス産東アフリカ向けプリント更紗
 
1900年製のスイス産東アフリカ向けプリント更紗
 
1900-20年製のスイス産西アフリカ向けプリント更紗
 
1900-20年製のスイス産西アフリカ向けプリント更紗
 今日、世界は情報通信技術の飛躍的な発展に伴い、グローバル化が急速に進展しています。また、そうしたグローバル化は、世界を均一化、標準化する傾向があるとの指摘もなされています。しかし、グローバル化は人類の始原から継続してきた現象であり、グローバル化現象が推移するなかにおいて人類は多様な社会と文化を構築してきました。そして、今後のさらなるグローバル化の展開のなかにあっても、社会と文化はより一層多様化し、複雑化していくと考えられます。そうしたグローバル化現象は、人類の衣文化と深くかかわってきたテキスタイルの分野においても顕著であり、とりわけインドネシアを代表するジャワ更紗(バティック)の成立とその後の歴史的な展開は、きわめてダイナミックな文化現象として捉えられます。
本特別展は、(1)「伝統的なジャワ更紗」、(2)「世界に展開したジャワ更紗のデザインを模倣したプリント更紗」、(3)「世界に展開したジャワ更紗のロウ防染技術」の3部構成とし、ジャワ更紗、プリント更紗とその製品によるファッション、ロウケツ染めの布などの展示を通じて、a)海外からもたらされた多様なデザインを取り込むことによって成立してきたジャワ更紗のデザインが、産業革命以降に、ヨーロッパ諸国、インド、日本、インドネシア、タイ、中国、アフリカ諸国などのプリント産業に取り込まれ、アフリカや東南アジアのファッション素材として普及していること、b)ジャワ更紗のロウケツ染め技術が20世紀初頭からひろく世界に波及し、あらたなアート&クラフトとして展開していること、をあきらかにすることをおもな目的としています。
なお、本展は共同研究『ジャワ更紗を基軸としたテキスタイルのグローバル化に関する人類学的研究』の成果として開催されるものです。本展を通じて、過去から継続するグローバル化の実態についての理解が深まることを期待しています。

特別展実行委員長 吉本 忍
1900-20年製のスイス産ジャワ向けプリント更紗
 
1900-20年製のスイス産ジャワ向けプリント更紗
 
ジャワ更紗のロウ置き作業
 
ジャワ更紗のロウ置き作業
 
 
観覧料:一般830円(560円)、高校・大学生450円(250円)、小・中学生250円(130円)
※( )は20名以上の団体料金、および割引料金です。※上記料金で常設展も御覧になれます。
※割引料金対象者(要証明書)・・・大学等(短大・大学・大学院)の授業での利用、3ヶ月以内のリピーター、満65歳以上
※毎週土曜日は、小・中・高校生は無料。
※無料観覧日:11月3日(金・祝)、11月18日(土)、11月19日(日)