企画展「アジアの境界を越えて」 | 展示趣旨
ながい歴史のなかで、アジア世界には、王権が意識した境界や人々の活動にあらわれた境界などさまざまな「境界」を見出すことができます。この展示は人間文化研究機構連携研究「ユーラシアと日本:交流と表象」での境界をめぐる動きに関する研究の成果の一部です。
古代では、中国の周辺諸民族が国家形成を進めた5世紀を対象とし、出土資料から中国南朝や倭など王権の意識した世界の広がり、大陸から倭への技術の伝播を示します。
近現代では、近代国家が成立する18世紀から20世紀を対象にします。北方では北海道からサハリン、千島列島、アムール川流域にいたる民族集団について、清朝や江戸幕府など国家による認識、物質文化の異同からみた集団の相互認識を示します。
南方世界では中国南部からタイへ移住した諸民族について、移住に対する自らの認識、移住の動因、移住後の文化変容を示します。
古代と近現代を比較することで、境界の姿を映し出すとともに、現代において境界のもつ意味を考える場を提供することができれば幸いです。