みんぱく世界の旅
- パプアニューギニア(1) 『毎日小学生新聞』掲載 2015年6月27日刊行
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林勲男(国立民族学博物館准教授)
上級生がこぐカヌーで通学
川岸にとめておいたカヌーで下校する子どもたち日本から南に向かって、赤道をこえると、ニューギニア島という世界で2番目に大きな島があります。西半分はインドネシアに属し、東半分とその周辺の島々はパプアニューギニアという一つの国です。島の中央には高い山が連なり、海岸との間にはジャングルが広がります。日本と同じように、地震や火山噴火、津波などによる自然災害が多く発生するところです。
五つの小学校が被害
1998年7月、ニューギニア島の北海岸を、海底で起きた地震による大きな津波がおそいました。海の近くにあった15の村が流され、多くの人が亡くなりました。五つの小学校が被害を受け、内陸に新たに作った村々に再建されました。ある小学校は丘の上の村に、別の小学校は川をさかのぼったジャングルの奥の村に建てました。でも数年がたつと、魚をとって暮らすのに便利な、海の近くにもどる人たちが増えてきました。
6年生の教室。この時は私が話をして、先生も後ろで聞いていましたそこで子どもたちはカヌーで学校に通うようになりました。1、2年生は、上級生がこぐカヌーに乗せてもらうこともあります。小さいころから親や兄、姉のカヌーに乗っているため、バランスを取ることはそれほど難しくないのですが、カヌーをより早く、より安定させて進むために上級生が2、3人でこぎます。
津波の被害を受けた沿岸にもどってきたわけですから、また大きな地震で津波がやってくるかもしれないという心配はあります。でも、避難するための高いビルや高台もないため、いざという時にはいち早く海から遠くに逃げるしかありません。
4、5歳になればもう一人でこげます一口メモ
この地域のカヌーは、一本の丸太をくりぬいて作ります。漁の時は船体の横にアウトリガー(浮き木)を取り付ける場合もあります。
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