国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

仮面の世界をさぐる――アフリカとミュージアムの往還(フィールドワーク選書19)  2016年2月29日刊行
吉田憲司 著 臨川書店

出版物情報

主題・内容

1975年に始まる、私の仮面をめぐる、日本で、アフリカで、そしてミュージアムでのフィールドワークの軌跡を綴り、仮面という装置の文化の違いを超えた成り立ちについての理解を得るまでのプロセスを描く。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

アフリカでフィールドワークを長年続けてきて、私が痛感するのは、自分がただ一方的に情報をもらうばかりで、世話になったアフリカの人びとに対して、何の役にも立たない存在だということです。そのような人類学者にとって、ミュージアムという存在は、世話になった人びとには直接返礼ができないまでも、彼ら彼女らの子供たち、孫たちに報いる数少ない回路のひとつを提供してくれる存在のように思われます。ミュージアムをめぐる私の実践と考察は、その回路を探る模索の軌跡でした。

目次

はじめに
第1章 仮面の森・以前――遠山郷下栗から上ナイル踏査まで
第2章 仮面の森へ――ザンビア・チェワの社会をめざす
第3章 仮面の森のフィールドワーク――秘密結社ニャウへの加入
第4章 ミュージアムのフィールドワーク――文化の表象の探求と実践
結び 仮面という装置