国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

仕事の人類学――労働中心主義の向こうへ  2016年3月17日刊行
中谷文美、宇田川妙子 編 世界思想社
【共同研究成果】

出版物情報

主題・内容

世界各地の人々の多様な働き方を、人類学者ならではの現場に即した視点から描き出し、ジェンダーと仕事の関わりにも注目しながら、そもそも「仕事・労働」とは何なのかを考えていこうとする論集である。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

扱っている地域は、タイ、インドネシア、マレーシア、ウズベキスタン、ブルガリア、イタリア、北欧、タンザニア、カラハリ、アルジェリア、そして日本である。取り上げる仕事や生活のあり方も、刺繍業、商人、移民・出稼ぎ、雇用労働、狩猟採集、起業、物乞い、育児・介護、儀礼活動など、多岐にわたる。
現在、仕事/労働は私たちの生活における最大の問題の一つである。だからこそその再考は必要であり、本書がそのきっかけとなることを願う。

目次

序章 仕事への人類学的アプローチ 中谷文美・宇田川妙子
Ⅰ 性別分業の揺らぎに向き合う
第1章 「見えない」仕事、「見せない」仕事 今堀恵美
第2章 揺れる「男の仕事」「女の仕事」 松前もゆる
第3章 グローバル化における家族とジェンダー役割の再配置 工藤正子
第4章 女が「稼ぐ」ということ 木曽恵子
 NOTE 1 妻たちの起業 阿良田麻里子
 NOTE 2 北アフリカにおける女性の就労行動の変化とジェンダー役割 宮治美江子
Ⅱ 〈労働〉概念の外延を広げる
第5章 儀礼は仕事か? 中谷文美
第6章 それぞれの「生きていくためのやり方」 丸山淳子
第7章 「仕事は仕事」 小川さやか
第8章 労働に埋め込まれた社会関係、社会関係に埋め込まれた労働 宇田川妙子
 NOTE 3 「仕事」と「労働」 石川登
 NOTE 4 「物乞い」という仕事 嶋田ミカ
 NOTE 5 ワーク・ライフ・バランスを要請する北欧福祉社会の課題 鈴木七美
Ⅲ 労働とジェンダーの軌跡をたどる
第9章 女性たちはどこでどのように働いてきたのか 木本喜美子
第10章 戦後日本における「仕事」の意味と男性性 ジェームス・ロバーソン