国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

東アジア海域から眺望する世界史――ネットワークと海域  2019年10月10日刊行

鈴木英明(編著)

明石書店

出版物情報

主題・内容

21世紀に入りグローバル化が進展するなかで、従来の一国史をはじめとする既存の歴史単位に依らない新たな歴史像が模索されている。海を中心とする歴史―海域史―はそのような新たな歴史像構築への貢献を期待され、2000年代以降、歴史学のなかで大きく発展してきた分野である。本書では、その到達点に立ち、海域史研究の新たな可能性をネットワーク論の観点から模索します。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

海の歴史、交易の歴史、世界史やグローバルヒストリーに関心のある方にお勧めです。チョコレートカップや硫黄、水銀などの流通、沈没船の分析や海賊、インドに残る鄭和の記憶、中国ムスリムなどに関する論考も収録。

目次

序章 海域史研究の展開とその課題
第1章 9世紀の沈船黒石号から見える港・航海・商人・国家
第2章 モンゴル帝国と中国沿海部のムスリム・ディアスポラ―アラビア語墓碑にみえる聖伝承より
第3章 海を渡る硫黄―14‐16世紀前半の東アジア海域
第4章 鄭和の記憶―ポルトガル人のインド到達と中国情報
第5章 16世紀前半における中国島嶼部交易の不安と安定
第6章 16‐18世紀における太平洋を跨ぐ水銀の密貿易
第7章 太平洋を渡ったチョコレートカップ