国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究テーマ・トピックス|杉本良男

南アジアの宗教・文化的ナショナリズム(2)

 
ロ)「タミル的」信仰の様態
バジリカと巡礼者
バジリカと巡礼者

南インド、タミルナードゥ州のキリスト教の巡礼地ウェーラーンガンニ・バジリカは、ヒンドゥー的な要素を取り込み、毎年8月から9月にかけての、全インド的に有名な祭礼にあつまる巡礼者の多くはむしろヒンドゥー教徒であるといわれている。また、儀礼、祝祭なども、インド的、ヒンドゥー的な要素を取り入れて独特の形式を生みだしている。教会側はこれを、「タミル的」であるから許されるのだ、と説明し、タミルナードゥにおけるナショナリズムとの関係を強調しながら、その正当性を主張している。現在この「タミル的」信仰の様態について、調査研究を進めているところである。


キリスト教の巡礼地ウェーラーンガンニ・バジリカ(南インド、タミルナードゥ州)、毎年8月末から9月にかけて10日間の大祭が行われる。この時期、インド全土から巡礼者があつまり、自炊する人びとのためにレンタルの鍋、つぼなどが用意されている。

 
バジリカ全景
バジリカ全景
巡礼者のための貸し出しナベ屋
巡礼者のための貸し出しナベ屋
みやげもの屋
みやげもの屋